ペンギンと霊長類


 学術部発信のコラム、2回目は赤見が担当いたします。1回目のコラムを書いた高野キュレーターは形態学者ですが、私が何学者かというと、ズバリ答えにくいです・・・。大学院で研究対象としていたのは、ペンギンとヒトです。え!?と思われる方も多いかもしれませんね。もう少し詳しく書きますと、動物園や水族館で展示されているペンギンと、それを見る来園館者です。

 動物園や水族館をとりまく世界は、ここ数十年で劇的に変化しています。私が大学院生だった十"ウン"年前は、日本で多く飼育されているフンボルトペンギンなど温帯性のペンギンであっても、氷山を模した背景で展示されている例がかなりありました。おそらく来園館者の多くが「ペンギン=氷山」のイメージを持っていて、動物園や水族館もその期待に応えようと展示を作っていたのでしょう。しかしその後、フンボルトペンギンの本来の生息地、サボテンが茂る南米チリの海岸を再現した展示に次々と塗り替えられていきました。動物園や水族館は、どこから情報を得て、どんな情報を伝えようとしているのでしょう。そんなことに興味を持って研究してきました。

 ペンギンはとても魅力的な研究対象でしたが、霊長類も負けてはいません。私たちヒトに近いぶん、いろいろな先入観もありますし、新しい事実も次々と発見されています。私のコラムでは、附属世界サル類動物園で日々動物たちや来園者のみなさまと接する中で、発見したこと、感じたことをご紹介していきたいと思います。
(学術部 キュレーター  赤見 理恵)
2017年5月20日更新
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