マントヒヒのカエサル、オトナへ
JMCでくらしている7頭のマントヒヒたちをご存知でしょうか。何事にも全力で生きている彼らは毎日大騒ぎ。ただ、けんかも多いけれど、その分グルーミングにも長い時間をかけ、お互いの存在をとても大切にしています。今回はやんちゃ3兄弟の真ん中、カエサルのお話です。いつでも自分が主役の長男クフ、要領のよい末っ子メネス。そんな2頭にはさまれ、いつも控えめで存在感の薄いカエサル。
野生のマントヒヒのオスは、 オトナになると父親から離れ、自分の群れをもとうとします。 当然、3兄弟にもそんな日がやって来ます。昨年、とうとうクフが父親より強くなり、大暴れ。父親を含む一家全員、ケガの絶えない日々が続いたため、やんちゃすぎるクフは雌1頭をつれて隣の部屋にお引越ししました。
5頭となった群れ。カエサルはというと、容姿は立派なれども、父親の影に隠れている日々。ひょっとしたら父親を越えることはないかもしれない、と思わせるほど控えめキャラのカエサル。ですがやっぱりどんな子も父を越えるときはくるんですね。しかし、優しい性格のカエサル。ありあまる力を振り回すことなく、父親との関係を徐々に変えていきました。おかげで群れの中の誰も怪我をすることもありませんでしたし、世代交代した今でも父と息子は仲良くくらしています。 カエサルの性格だからできたのでしょうか。
そんなカエサル、最近はけんかの仲裁にも身体を張れるようになりました。ようやく雌からも信頼をされるようになってきたようで、熱心にグルーミングされている姿も。 でも何か不安な時はやっぱりみんなお父ちゃん頼み。真のリーダーになるにはまだまだ経験不足のようですね。いつまでも父息子仲良くしてくれることを願いつつ、頼もしくなっていくカエサルの成長をこれからも見守っていきたいと思います。
(附属動物園部 アフリカ館担当 辻内 祐美)
(右がカエサル。左は母親のパトラ。)
2017年10月5日更新
関連キーワード:動物園、アフリカ、成長
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