一番古いモノ

三猿像 eb-1621

ある日民俗資料(猿二郎コレクション)の整理をしていると、1組の三猿像が出てきました。
表面は剥落が目立ち、いかにも古いもの、という感じがします。
台帳を見ると「桃山時代」と書かれています。
ということは400年以上前に作られたもの。
そんな古いものがあるのかと担当者ながら驚きました。
きっと桃山時代のこの三猿像が「一番古い」民俗資料だろう、そのときは思いました。


以前、登録番号「1番」の資料をご紹介しました。(リンク
骨格標本など霊長類の資料は古い順に登録されていますから、「1番」が一番古い資料です。
たとえば以前ご紹介したPr0001のシロテテナガザルの骨格は一番古い1959年のものです。
ところが民俗資料は作られた順に登録されているのではありません。
なので前回ご紹介した1番のお面が一番古いもの、ではないのです。

そこで台帳で調べてみると、先ほどの三猿像よりもっと古いものがありました。
和菓子に使う木型です。


菓子の木型 eb-681  右はもち手側の部分を拡大したもの。ここがサルの顔?になっている。

作られた年代として記録されているのはなんと鎌倉時代。
残念ながら銘記もなにもありません。
台帳に「鎌倉」と書かれているだけですが、 本当に鎌倉時代のものならば700年~800年前のもの。
とても貴重なものと言えそうです。

着任5年目の私ですが4700点の民俗資料の全容はまだわかっていません。
標本室の箱の中に入ったまま、まだ目にしたことのない資料がたくさんあります。
京大モンキーキャンパス資料サークルの方々など多くの人に手伝っていただきながら、標本庫の探索を進めたいと思っています。
(学術部 キュレーター  新宅 勇太)

2017年11月10日更新
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