芸術の秋:サルの絵の掛軸
せっかくの芸術の秋、ということで、先日京大モンキーキャンパス資料サークルの方々とともに、
猿二郎コレクションの掛軸の整理をおこないました。
私もほとんど広げたことがない資料ばかり。まさに発掘作業です。
その中で出てきた掛軸から2本、ご紹介しましょう。


庚申三猿図 eb-4553
1本目は江戸時代の大阪で活躍した森狙仙の「庚申三猿図」です。
よく見ると、他のサルの目、耳、口を押さえて「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿を表した、おもしろい構図になっています。 森狙仙は残される作品の90%以上が猿を描いたもの、と言われる猿画の名手です。
森の中で何年もサルを観察したという伝説が残るだけあって、細部まで生き生きと描写されています。


太閤図 eb-3518
もう1本、こちらに描かれているのは人物だけ。
どこにもサルが描かれていないように見えます。
でもよくご覧ください。右上に描かれている馬印は千成瓢箪。
つまりここに描かれている人物は豊臣秀吉です。
もうお分かりになりましたでしょうか。
豊臣秀吉のあだ名は「サル」。これも立派な「サルの絵」なのです。
動物のサルとは直接結びつかない、こんな意外なものもコレクションにはあるようです。


資料の発掘作業はまだまだ続いています。
今度はどんな資料が見つかるのでしょうか。
発掘した資料は機会を見てお披露目したいと思います。
(学術部 キュレーター  新宅 勇太)

2017年11月25日更新
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