奇跡のみかん
アフリカセンターで16年前、ひとつの奇跡の芽が出ました。運動場でニシローランドゴリラがよくウンコをしていた場所から、みかんの木が育ち始めました。

当時、1日の食事で数個のみかんを与えていました。偶然、噛み潰されない種から芽が出て、掃除や除草を逃れて生育するなんて、まさに奇跡でした。色々と計算して200万分の1って数値を出したのを覚えています。

たぶん、種類は甘夏だと思います。みかんの木は、ぐんぐん大きくなり10年前から実を収穫出来るようになりました。2010年に120個の収穫、2014年には200個の収穫、昨年は300個以上のみかんが収穫できました。縁起の良いみかんですので、お正月にご来園された方に毎年お配りしています。

(撮影:学術部  江藤 彩子)

さて、このみかんは毎年ニシローランドゴリラのタロウさんの手が届くところに、実ります。でも、タロウさんは決して食べません。タロウさんはみかんが嫌いではありません。では、何故食べないのでしょう?

それには、秘密があります。10年前の9月、みかんが実をつけ始める頃、タロウさんはまだまだ実が小さく青い状態の実を1日で3個食べました。すると、翌日下痢になりました。その日以来、タロウさんがみかんに手を付ける事はありませんでした。よほど、辛かったのでしょうね。本当のところは、本人に聞いてみないと分かりませんが。


今年は、運動場の金網に食い込んだ枝を剪定したことと、悪天候による全国的な不作が重なり、実ったみかんは88個でした。収穫個数は少なくなりましたが、2018年の元旦から3日間、アフリカセンターでお配りできました。ご利益があるか分かりませんが、何か幸せな気持ちになっていただけたら嬉しいです。

霊長類の保全、福祉、環境教育のためのお志もたくさんいただきました。ありがとうございました。大切に使わせて頂きます。

今年も、タロウさんをはじめモンキーセンターの動物たちを、よろしくお願いいたします。


(撮影:学術部  江藤 彩子)
(附属動物園部 アフリカセンター担当  坂口 真悟)

2018年1月5日更新
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