金色の「おとなの」シルバールトン
銀色の毛が美しいシルバールトン。モンキーセンターではアジア館で会うことができます。赤ちゃんは生後3カ月くらいまで、親とは全く異なるオレンジ色(金色)の毛をしていることでも有名です。モンキーセンターでは現在オスが2頭しかいませんが、昔赤ちゃんが生まれた時には、「金」の赤ちゃんと「銀」のお母さんの組み合わせ、かつちょうどオリンピックの盛り上がりとも重なり、新聞各社の紙面を賑わせたことを覚えています。

さて、昨年11月に京大モンキーキャンパス受講者有志の方々11名とともに、ボルネオ島サバ州スカウ村を訪れました。主な目的はモンキーキャンパスで講義をしていただいた松田一希先生のテングザルの研究フィールドを訪ねることだったのですが、この森で野生のシルバールトンも見ることができました。


写真をご覧ください。大きな木でシルバールトンの群れが採食しています。パッと見る限り約20頭。群れ全体では40頭はいるでしょうか。では、さらにアップでご覧ください。金色の赤ちゃんを抱いているお母さんがいます。でもあれ!?オトナなのに金色の個体がいるではないですか。

(左は通常の親子。オトナはシルバー(グレー)で、赤ちゃんは金色。右はオトナなのに金色のシルバールトン。)
実はボルネオでは、シルバールトンのオトナでも金色の個体がまれにいることが知られています。しかし、金色の親から金色の子が生まれてくるわけでもなく、また地域によってはっきりと分かれているわけでもなく、さらに金色であることに何のメリットがあるのかも、よくわかっていません。オランウータンやカニクイザルに擬態しているのではないかと書いてある本もありますが、本当かな、、、、。


新年ということで、「金」と「銀」のおめでたい話題をお届けしました。 ぜひアジア館のシルバールトンにも会いにいらしてください。

(学術部 キュレーター  赤見 理恵)


(アジア館のシルバールトン。)
2018年1月10日更新
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