がんばれ!クリスおじいちゃん!
2018年が始まりましたが、2017年のことについてお話をさせてください(若干私事となりますが)。

2017年11月に、私は日本モンキーセンターに入社しました。それまでは福岡のとある動物園で9年間飼育員をしており、新人と呼ばれると少し戸惑う年齢です。 そんな私ですが、1ヵ月間の研修で全部署を経験させていただき、12月からバックヤード、病院棟の担当となりました。

病院棟では、怪我や病気の治療、診察、歯科検診など、様々な理由で動物たちが搬送される場所です。診察や歯科検診は即日退院となりますが、手術を伴う怪我の治療や、体調不良による入院となると長い期間となります。 「最近、展示場で姿を見ないサルいるなあ」、「あれ、このサル何だか久しぶりな気がする」などを感じることがある方がいらっしゃるのではないでしょうか。 そんな時は、病院棟に入院しているのかもしれません。 病院棟の施設内は、関係者にしか入ることができないので、一般の方は見ることができません。

そこで、今回は入院している1頭のエリマキキツネザル(個体名:クリス)の現状を少しお話できたらと思います。
彼は、2017年12月13日に、食欲減退で病院棟に入院してきました。 検査をおこなったところ、24歳(入院当時)で高齢ということもあり、関節痛がひどかったことが食欲減退の原因ではないかと考えられました。 入院したての頃は、体調不良に加え、不慣れな環境への緊張があったのか表情が硬かったのを覚えています。 せめて緊張を取ってあげられたらと思い、作業を始める前や治療の後、何かをするたびに積極的に声をかけてあげました。 すこしずつではありましたが表情が柔らかくなり、治療に専念できる状態となっていきました。

点滴と注射での治療を続けること約10日間、徐々に食欲が戻っていくクリス。 自力で採食ができると、エサに消炎剤を混ぜて与えることができるので、点滴や注射と比べると負担は少なくなります。 そこからは順調に回復していきました。退院は近いうちにできるのではないかと思いつつ、クリスに関する記事の掲載許可を、マダガスカル館担当者に伺ったところ… 退院の予定が決まった!と報告を受けました。 この記事が載っている頃には、マダガスカル館に戻っているかもしれません。

入院している動物たちの生きようとする力に感心するばかりです。 そんな彼らが少しでも早く元気になり、もといた展示施設へ帰ってくれることを祈りながら、日々の作業に精進したいと思います。


(附属動物園部 バックヤード担当  阿野 隆平)
2018年1月20日更新
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