熱帯大都市の野生動物
その1 都市と緑地とカニクイザル
東南アジア、赤道直下にある都市国家シンガポールは、優れた動物園があることで有名ですし、日本人が多く訪れる観光地としても人気です。しかし、綺麗な大都会というイメージはありますが、自然環境もそれなりに豊かで、野生動物もたくさん生息しているということはご存知でしょうか。

今年の1月にプライベートでシンガポールを訪ねました。目的の半分は、優れた動物園 やナイトサファリを見ることですが、もう半分は都市にくらす野生動物を観察すること。いくつかのスポットを廻り、動物探しを楽しんできました。

霊長類でいえば、カニクイザルとスンダスローロリス、そしてシンガポール内では絶滅 寸前のモモジロリーフモンキーの3種が生息しているようです。いずれも、シンガポール 中央部のセントラルキャッチメント自然保護区の森林にくらしています。さすがに、夜行性のスローロリスと、残り20頭ほどといわれるリーフモンキーを見ることはできませんでしたが(残念!)、カニクイザルは少しでも森があればすぐ見つかる印象です。地元の人々もサルがいて特にどうということもないですし、何かの調査中なのかテレメトリーの首輪が付けられた個体もいました。都市のこんなに近くに野生のサルがいる、ということで、日本と何か近しいものを感じました。

停車中のトラックの荷台から顔を出すカニクイザル。

首輪の付いたカニクイザル、アンテナが付いているのが見える。多くの人々がボート遊びやウォーキングに興じる公園の中を普通に歩いている。

(学術部 キュレーター 綿貫 宏史朗)
2018年2月26日更新
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