<特集> とにかく、ツリーハウスを夢見て
「ツリーハウスをつくりたい!」当時はその思いだけが3人の中で先行していました。今から2年ほど前のこと、3人とは附属動物園部で「営繕班」と呼ばれている根本、石田、そして私です。今となっては誰が何をきっかけに言いはじめたのかもさだかではないのですが、思いは日ごとに強くなり、この思いを実現すべく企画書を作成しはじめました。でも、すぐに行きづまってしまいます。なにせただ「作りたい!」からはじまっていますから、「企画の目的」がないのです。「大きなものをつくりたい。」「高いところに登りたい。」これらはすべて自分勝手な願望です。大事なことはツリーハウスを通じて来園者のみなさまに何を感じてほしいのか。「ホストツリー」はKIDSZOOの中心にそびえるクスノキとすることは3人の間で一致していましたから、前を通るたびに考えを巡らせていました。
「3階立てのデッキをつくって、最上階にツリーハウスをつくろう!」など構造については話が進むものの、目的については下から眺めていても一向にまとまりません。それもそのはず、答えはクスノキの上にありました。梯子をかけてクスノキの上に登って気づきました。3人が共通に感じたことは、『森に入って高い木に登り、木の上で風を感じることで、いつもとは違う視点から自然を感じることができるはずだ。しかし、それを経験できる人はほとんどいない。生きた木に支えられ、木とともにあるツリーハウスは、自然を身近に感じるための最適なツールである。安全が確保された足場によって、多くの人が樹上に登ることができ、木のざわめきや香りに包まれて自然を体感できれば最高だ。それは子どもにとっては「小さな冒険」だし、おとなにとってはかつて夢に見た「憧れ」を叶える場である』ポエムのようですが、このときに3人が描くツリーハウスの目的は、自分たちが感じた「自然との一体感」のようなものを来園者のみなさまにも感じてもらうことだと気づいたのです。
企画書が無事にとおり、現在は製作を進めています。3人とも「飼育員」ですから、あらかじめ建築の知識があるわけではなく、木材にとりわけ詳しいわけでもありません。企画段階で作った設計などあってないようなもので、その場その場で人間3人とクスノキ1本が相談しながら進めています。そのおかげもあってか、今では小枝の1本1本まで頭の中で描けるほど、この木に親しんでいます。製作の過程が一番自然を感じられるのかもしれません。
製作開始当初、インド出張中であった根本は、不在中の遅れを取り戻すにあまりある活躍をしています。高いところが大好きな石田は率先して高所での作業をおこなっています。高いところが苦手な私は「声出し」を頑張っています。1階のデッキができたとき、「これでまだ1階!?」と高さに驚きました。2階デッキができたとき、「もう十分じゃない!?」と口では言いながら上をみてまだ見ぬ3階に心を躍らせていました。現在は3階デッキが完成し、いよいよ「ツリーハウス」を製作中です。完成した家の窓から森はどのように見えるでしょうか。遠くに街並みが見えるようにしたいな。窓を抜ける風は何を感じさせてくれるのでしょうか。来園者のみなさまの感想を楽しみに、ゴールデンウィークのお披露目を目指して頑張ります。
(附属動物園部 バックヤード担当、営繕班 鏡味 芳宏)
(附属動物園部 バックヤード担当、営繕班 鏡味 芳宏)
2018年4月15日更新
関連キーワード:動物園、KIDSZOO、ツリーハウス
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