変わらない街の変化

 私は今、コンゴ民主共和国の首都、キンシャサに来ています。目的はもちろん、これまでも何度かご紹介してきたボノボの調査のため。キンシャサではその準備のため、いろいろな打ち合わせをしたり、買い出しをしていたりします。

この街の喧騒は以前にもご紹介した通り。朝から鳴りやまないクラクション。無秩序な車の運転。人の顔を見るなり「シノワ」(中国人、という意味です)と声をかけてくる街の人々。まったく予定通りに進まない旅(今回もチャーター機のスケジュールが変わってしまいました)。何1つスムーズに進むことのない物事。そしてこれが何も変わらないキンシャサスタイル,のように感じています。

静かで平穏で、何もかもがトントン拍子に進むキンシャサ、というのはまったく想像がつきません。何かトラブルが起こったときに、「ほらやっぱり起きた」とどこかで期待していたところもありますし、「この街だから仕方ないね」とあきらめているところもあります。どちらにしても、トラブルが自分のある程度の想定の範囲内にあることは事実。良くも悪くもこの街があまり変わっていないことを感じさせてくれます。この時点でだいぶ私はこのキンシャサという街に毒されているようですが。





 そんな何も変わらないキンシャサの街ですが、今回訪れてみて大きく見た目が変化したことがあります。それは街の中をやたら黄色い車が走っていることです。雇っている運転手に聞くと、最近になって、タクシーは車体を黄色することになったとのこと。街中にあふれる黄色い車を見ていると、この半年でよくこれだけの車の色を変えたなとか、こんなにタクシーが多いのか、など様々なことを考えます。そういった街の変化を見られるようになったのも、この国に通い続け、キンシャサでの暮らしにも少し心の余裕ができたからかもしれません。

とはいえ、キンシャサでの暮らしは調査の序章にすぎません。これからボノボの生息地であるMbaliに向かい、実際の調査が始まります。その様子はまた改めてご報告することにしましょう。

(学術部 キュレーター  新宅 勇太)

2018年8月26日更新
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