妙高高原でニホンザルに会う!
 9月25日から29日までの5日間、新潟県妙高市の笹ヶ峰でおこなわれた研修に参加してまいりました!この研修は、標高1330mの高原に建設された『京都大学笹ヶ峰ヒュッテ』をベースとして、フィールドワークの基礎を学ぶとともに、周辺の動植物観察と火打山登山を目的としています。私は火打山登山を一番楽しみにしていたのですが、残念ながら天候に恵まれず、頂上を前にして途中で引き返すことに、、、でも、この雨のおかげで素敵な出会いがあったのです!

京大ヒュッテ

 それは研修2日目、火打山登山の前日のこと。天候は曇り。本来ならこの日は「やぶこぎ」という「整備されていない山の藪を掻き分けて登る」という実習が組まれていました。聞くだけで大変そうです。しかし、前日の雨で岩場が滑りやすくなっており、さらに翌日に登山を控え今日ケガでもしたら大変だ、という理由からこの実習が中止されました。そして、代わりに組まれた実習がなんと「ヒュッテ周辺でニホンザルを探す!」だったのです!

 ヒュッテ近辺の牧場を西から東へ抜けるルートを歩きました。心ではわくわくしながらヒュッテを出発しましたが、頭では「こんな広大な高原でサルを探すのは難しい」ということも理解しています。が、今回に限っては本当に幸運で、牧場の東の端で無事にオトナのオスに会うことができました!我々に気付くなり木に登り、枝を揺らして力を誇示します。センターにいるニホンザルより少し大柄です。最初は離れオスかな?と思ってみていましたが、少し先には同じ群れの他のサルたちがいました!アカンボウを背に乗せて歩くメスたち。プロレスごっこのように遊ぶコドモたち。目視できるだけで20頭は超えています。我々に気付き移動をはじめますが、走って逃げることもなく、適度に距離を取りながらゆっくり森へ入っていきます。この場所で1時間ほど群れを観察することができました。また、今回の研修中にヒュッテの前を歩く2頭のオスも見ることができました。先生方のお話を聞く限りでは他の群れもいるそうです。しかし、以前はヒュッテ周辺でニホンザルを見ることはなかったそうです。原因はわかっていませんが周辺のニホンザルの生息域が変化してきているようです。
牧場から森へ帰るサル

 日本モンキーセンターは『自然への窓』でありたいと考えています。動物園をとおして野生のサルたちのくらしに興味を持っていただきたいです。今回の研修では幸運にも『窓の外』を体験することができました。この体験を伝えることで、みなさまが窓の外を覗くお手伝いが少しでもできたら良いなぁと感じています!
(附属動物園部 バックヤード担当  鏡味 芳宏)
2018年10月19日更新
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