受け継がれるたき火の技術
日本モンキーセンターの冬の風物詩といえば、毎年冬至の日から実施している「たき火にあたるサル」です。今年度で59周年、来年度はついに60周年を迎え、かなり歴史が長い伝統のイベントとなりました。今年度もいつもどおり、ヤクシマザルたちはたき火にあたり、幸せそうな顔をしています。

そんな、「たき火にあたるサル」のたき火には、じつは先人の方から受け継がれている技術があります。私が初めてたき火にかかわる際、はじめに先輩方から教えられたのは〝火点け3年、扇ぎ5年″という言葉でした。はじめはどういうことだろう?と疑問に思ったのですが、すぐにその意味を理解しました。そう、実際に火点けをし、板で扇いで、たき火をおこしてみたのですが、うまくできなかったのです。私が思っていたよりも、たき火をするのは非常に難しかったのです。まあ、初めてだし、先輩方の真似をしてコツが掴むことができればすぐできるようになるだろうと思っていたのですが、現実は甘くはありませんでした。それから何度もたき火おこしに挑戦をしてみたのですが、一向にうまくいきません。結局、うまく火がおこせるようになるまで、1週間ほどかかりました。やっと火おこしができるようになったとしても、火力にムラがあり、こんな火では焼きイモを美味しく作れないだろうと先輩方にダメ出しをうけてしまいました。

経験豊富な先輩方は5分もかからず火おこしを成功させていました。それを見た20代の頃 の私は、悔しいと思い、必死になってたき火の火おこしの経験を積み重ねたのを今でも思い出します。


私がたき火にかかわるようになってから、今年度で9年目です。今では、雨が降っていようが、風が強かろうが、どんな条件下でも5分もかからず火をおこせるようになりました。

最近では、私が後輩にたき火の指導をしており、〝火点け3年、扇ぎ5年″という言葉をはじめに教えています。こうしてたき火の技術は受け継がれていくのだろうなぁとしみじみ思います。
(附属動物園部 北園担当  山田 将也)

2019年2月26日更新
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