民俗資料と「和の空間」
かつて、モンキーセンターに「猿二郎館」という建物があったことをご存知でしょう か?現在は日本モンキーパーク(遊園地)の敷地になっていますが、かつてのモノレール駅、現在の食事処「楽猿」から遊園地の方へ橋を渡ったあたりに平屋の民家風の建物がありました。現在では取り壊されているため、当時の様子は残されている写真からしか知ることはできません。



1962年から1999年まで、ここには民俗資料が所せましと展示されていました。当時 のパンフレットには、なんと10000点が並ぶと書かれています。ケースには大小さまざまな人形や道具が並び、壁には掛軸や絵が掛けられ,天井にもお面や大凧が下げられました。そして建物の外には「猿浴の池」があり、石灯篭のような大型の資料もありました。とにかく展示品であふれた、にぎやかな空間だったようです。和風の空間は民俗資料のもつ雰囲気と相まって、味のある空間になっていたのではないかと想像します。




さて話は変わって、現在犬山城の城下町にある 「木之下城伝承館・堀部邸」という旧家で民俗資料の展示をおこなっています。この建物は国の登録有形文化財であり、明治初期に建てられた武家風建築です。ここで、NPO法人古代邇波の里・文化遺産ネットワークのご協力のもと、その渡廊の一区画で民俗資料の展示をさせていただいています。板張りと畳敷きの展示エリアは今のモンキーセンターの中にはない「和」の空間になっています。

最初の年はモンキーキャンパスの資料サークルの方々に展示品を選んでいただきました。その後はこの「和の空間」を意識し、小規模な空間だからできる展示品を選んでいます。昨年展示した犬山焼はその代表です。鮮やかな色彩の犬山焼は、落ち着いた展示空間によく映えました。

現在は特別展「サルづくし」でも展示した郷土玩具を並べています。モンキーセンターにお越しの際には、犬山城下にも足を運んでみてはいかがでしょうか。

堀部邸の情報はこちらから.http://horibetei.com/


(学術部 キュレーター  新宅 勇太)

2019年3月30日更新
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上は昨年まで展示していた犬山焼の数々。下は現在展示中の郷土玩具の一部。