Mbali地域のボノボ調査速報

2019年8月下旬から9月上旬にかけて,コンゴ民主共和国Mbali地域に野生ボノボの調査へ行ってきました.2015年に初めて行って以来,もうこれで9回目の調査です.このコラムを読んでいただいている方には,Mbali Mbaba Misatoでおなじみの場所でしょう.ここでは,今回の調査の様子をどこよりも早くご紹介したいと思います.

まずは明るい話題から.ボノボに子どもが生まれています.2018年と2019年にそれぞれ1頭ずつ生まれていて,母親にしがみついている様子を見ることができました.そのうちの1頭,昨年生まれのメスには「コンジョ Konjo」という名前が付けられました.今のところは元気に育っているようです.

初日にはサバンナにいるボノボにも出会いました.9回目の調査にして,サバンナでボノボに遭遇したのはこれが3度目.貴重な場面です.見ていると群れがサバンナを横切ろうとして藪の中にいるようです.これは観察のチャンスとしばらくサバンナで座って待っていたのですが・・・


サバンナで待ち構えていると後ろの方からなにやらパチパチという音と焦げ臭いにお いが.そう,村人がサバンナに火を放ったのです.もちろんこれは村人には認められたこと.サバンナを焼いて,焼け跡に生える草を家畜の牛に食べさせるのです.サバンナを焼くことは彼らの生活を支える大事な仕事.それでも,なにも今のタイミングでなくても・・・と思ってしまいます.ボノボが火の入ったサバンナに出るわけもなく,私たちも森の中へ避難したところでボノボを見失ってしまいました.もう少し火が入るのが遅ければサバンナを移動する群れが見れたのではないかと思うと残念ではありました.

うっすらと立ちのぼる煙が見えるでしょうか?

最後に,ボノボが昼寝用のベッドを作っているところが撮れました.これまでにもボノボがベッドを作って昼寝をするようすは観察していました.ただし,今回は作り始めるところから昼寝まで,なかなかきれいな動画を撮ることができましたのでご覧いただこうと思います.

もちろん,この国での調査が一筋縄ではいかないのはいつも通り.今回もやはり様々な問題が起こりました.いろんな事件は,またキュレーターズトークなど,折に触れてご紹介していきます.
(学術部 キュレーター  新宅 勇太)


2019年9月30日更新
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