特別展のウラ話①:テレワークと山仕事
無事に6/20(土)からの特別展「カモシカと犬山の野生動物」をオープンさせることができたわけですが、その過程ではいつもと違うことがいろいろとありました。新型コロナウイルス感染拡大防止のため日本モンキーセンターも4/11(土)から臨時休園。もちろん飼育業務はいつも通りおこなわなければいけないわけですから、飼育員は感染防止に努めつつ出勤します。しかし研究と教育を仕事とする私たちキュレーターは、基本的にテレワークとなりました。


オープンした特別展

特別展のための調べものやパネル用の文章執筆は、テレワークでも(の方が?)はかどります。しかし問題は標本借用や調査、取材など、相手のある仕事です。出向くことができないので、メールなどでできる限り進めました。そして6月に入り、やっと岐阜県博物館からの標本借用と、東山動物園での取材をおこなうことができました。

岐阜県博物館での標本搬出作業


一方でとても順調に進められたのが、特別展のための調査でした。だって調査地は「山」ですから。登山道からも外れた“けもの道”なので、人に会うことはありません。動物などが通ると自動的に撮影してくれる「センサーカメラ」を9台設置して定期的に見て回り、いろいろな野生動物の存在を確認することができました。トカゲのなかま(センサーがちゃんと反応するのにびっくり!)、さまざまな小鳥、アオゲラ、カラス、コジュケイ、ヤマドリ、ネズミのなかま、ニホンリス、イタチ、ニホンテン、ニホンノウサギ、アナグマ、タヌキ、アカギツネ、ノネコ(ノラネコ?)、ハクビシン、アライグマ、イノシシ、そしてニホンカモシカも!

何度も通っていると、けもの道がはっきりと見えるようになってきます。あちこちに“交差点”があり、私が勝手に「渋谷」と呼んでいるところは数本のけもの道が交差している、まさに“スクランブル交差点”です。小動物しか通らないような小さなけもの道をかき分け、イノシシなども通る大きなけもの道にでると「大通りに出た!」と言ってしまいます。大通りといっても道幅数十センチなのですけれどね。

特別展会場でもいくつかの動画を上映していますが、ここではつい先日撮影されたウリボウたちの姿をご覧ください。季節によって動物たちのくらしの変化がわかるのもいいですね。ぜひ特別展にも足をお運びください。
(学術部 キュレーター 赤見理恵)

2020年6月27日更新
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