特別展のウラ話⑤:ウシモツゴ水槽の水草
ウシモツゴはコイの仲間で、5cm程度の小さな淡水魚です。犬山では、ウシモツゴはため池や用水路など人々の身近な場所でくらす魚でしたが、ここ数十年の間に数を減らし、今では野生下では絶滅したとされています。そんな希少魚であるウシモツゴを、特別展「カモシカと犬山の野生動物」で生体展示をしています。
熱帯魚ではないため、温度管理や水質などのメインテナンスはそんなに手間がかからな いだろうと甘くみていました。
水槽で飼育されることに慣れていない魚たちを展示するためには、隠れる場所をつくっ てあげなくてはいけません。ビジターセンター内で何かないかと探したところ、パンジーを植えるのにピッタリな小さな植木鉢を見つけました。植木鉢は飼育下の魚の隠れ場の定番。底面に穴があいているので逃げ出すにもコッソリ入りこむにもピッタリです。これだけではまだ姿が丸見えなので、水草を追加することにしました。園内のビオトープから採集した水草を結束バンドで束にして植木鉢の出入口を隠すように水槽内に植えました。魚たちが見えなくなるぐらい水草が成長したらどうしようと思いながら。
予想は見事に裏切られました。水草は成長するどころか、根元の方から葉っぱがなくな っていきました。室内だから成長するための光が足りないのかなとも思いましたが、いちばんの原因はウシモツゴたちでした。なんと、葉っぱをつっついて食べていたのです。水流のおだやかな根元の方がつっつきやすかったようです。その姿を見た日からエサの量を増やしましたが、日に日に葉っぱは減っていきました。
熱帯魚ではないため、温度管理や水質などのメインテナンスはそんなに手間がかからな いだろうと甘くみていました。
水槽で飼育されることに慣れていない魚たちを展示するためには、隠れる場所をつくっ てあげなくてはいけません。ビジターセンター内で何かないかと探したところ、パンジーを植えるのにピッタリな小さな植木鉢を見つけました。植木鉢は飼育下の魚の隠れ場の定番。底面に穴があいているので逃げ出すにもコッソリ入りこむにもピッタリです。これだけではまだ姿が丸見えなので、水草を追加することにしました。園内のビオトープから採集した水草を結束バンドで束にして植木鉢の出入口を隠すように水槽内に植えました。魚たちが見えなくなるぐらい水草が成長したらどうしようと思いながら。
予想は見事に裏切られました。水草は成長するどころか、根元の方から葉っぱがなくな っていきました。室内だから成長するための光が足りないのかなとも思いましたが、いちばんの原因はウシモツゴたちでした。なんと、葉っぱをつっついて食べていたのです。水流のおだやかな根元の方がつっつきやすかったようです。その姿を見た日からエサの量を増やしましたが、日に日に葉っぱは減っていきました。
つっつかれてしまった水草
姿を隠すために入れてあげた水草は、みるも無残にほぼ茎だけになってしまいました。しかたがないので、新しく水草を採集してきて植え替えることにしました。しかし、10日後にはつっつかれすぎて緑が薄くなってしまいました。
姿を隠すために入れてあげた水草は、みるも無残にほぼ茎だけになってしまいました。しかたがないので、新しく水草を採集してきて植え替えることにしました。しかし、10日後にはつっつかれすぎて緑が薄くなってしまいました。
水草の植え替え直後(左)と植え替えて10日後(右)
犬山のウシモツゴは野生では絶滅してしまいましたが、飼育下で繁殖を続け、いずれは野生復帰させようという取り組みがおこなわれています。そのためにはウシモツゴを食べてしまうブルーギル、オオクチバスなどの外来種の駆除も必須です。私が子どもの頃は「キャッチ・アンド・リリース」という言葉がはやり、オオクチバスを釣って放すことが良いことだと言われていました。しかし時代は変わり、外来種は駆除対象となりました。ここ数十年で魚たちの世界は生息数もふくめ激変しているようです。
特別展終了まであとわずかですが、もう1回ぐらいは水草を植え替えることになりそう です。とても臆病な魚たちなので、ウシモツゴを見る時はこっそり静かに見てくださいね。もしかすると、エサの時間と勘違いして寄ってきてくれるかもしれません。
(学術部 エデュケーター 江藤 彩子)
特別展終了まであとわずかですが、もう1回ぐらいは水草を植え替えることになりそう です。とても臆病な魚たちなので、ウシモツゴを見る時はこっそり静かに見てくださいね。もしかすると、エサの時間と勘違いして寄ってきてくれるかもしれません。
(学術部 エデュケーター 江藤 彩子)
2020年10月15日更新
関連キーワード:博物館、犬山の自然、絶滅危惧種
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