健やかに育っておくれ
 こんにちは。テナガザル・クモザルを担当している飼育員の石田です。 今回は私が担当しているジェフロイクモザルの♀レーズンについてご紹介します。



レーズンは2019年10月30日にクモザルの島で生まれました。 母親は♀レイコ(左)、父親は♂チロル(右)です。

1歳5ヶ月齢を迎えたレーズンですが、これは私が担当しはじめてから産まれた個体での最長成育記録です。 私がクモザルの島の担当になった2015年からレーズンが産まれるまでに5頭の出産がありましたが、いずれも1歳を迎える前に亡くなってしまいました。 死因は他個体からの攻撃による怪我、病気、流産など様々でした。どうしようもない場合もありましたが、担当者として助けてあげられなかった自分の無力さに毎回打ちのめされました。
そして2019年、レーズンが産まれました。
今までの経験から、少しでもリスクを回避するために新たにいくつかの対策をおこないました。

まずは吊り橋に落下防止用のネットを設置しました。 これは直接の死亡原因になったわけではないですが、以前コドモがあやまって母親以外の個体に抱きついてしまい、その個体がコドモを振り落として池に落下させるという事故があったため、そういった想定外の事故を防ぐために設置しました。
このネットは「Amazonほしい物リスト」でご寄附していただきました。ありがとうございました。


また、何かあった際にすぐに個体を分けられるよう、寝室内にいくつかの仕切りを設置しました。これは個体間で闘争などが起こった際の緩衝壁としての役割もあります。

脳に障害を持って産まれてすぐに死亡してしまったり、流産してしまったりしたこともあったため、妊娠中の食事についても見直し、葉酸や鉄分を多く摂取できるよう工夫したりもしました。


そして現在、これらの取り組みが功を奏したおかげで、レーズンは大きなトラブルもなく、すくすくと成長してくれています。まだまだ気を抜けない期間が続きますが、まずは1歳を超えて成長してくれたことを喜びたいと思います。

これまで亡くなってしまった個体たちの分までレーズンが健やかに成長してくれることを祈って、今後も見守っていただけますと幸いです。

(附属動物園部 クモザルの島担当  石田 崇斗)



2021年3月20日更新
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