ワオキツネザルの群れ調整と繁殖制限
暖かくなり、ようやくワオキツネザルの繁殖期が終わりました。現在はオスとメスを分離するという繁殖制限する方法をとっているため、今年もワオキツネザルのアカンボ ウは生まれる予定はありません。繁殖期ではメス間での闘争が特に多く、何度も勃発して大変でした。

Waoランドには4つの群れがありその中のラ群のリーダー♀ラメが群れから追い出され、またブ群のリーダー♀プタハも群れから追い出されてしまいました。群れのリーダーが変わるのはそう頻繁にあるわけではありませんが、今回立て続けに起こりました。ラメはラ群に戻るのが難しいと判断しWaoランドminiへ移動してレイコ、ナツ、ククイと 過ごしています。プタハは群れ調整をおこないブ群に戻ることができました。


左からククイ、ラメ、ナツ、レイコ
プタハ

今回はリーダーが変わり、おおがかりな群れ調整でしたが、基本的には追う個体を一度群れから外せば、追われる個体が落ち着き、群れの輪に入ることができます。追うことが原因で群れから外した個体は興奮しているため、1週間ほど群れから外し、落ち着かせてから群れに戻します。しかし、群れに戻すと大抵立場が逆転します。前まで追われていた個体が追っていた個体を追うようになります。もし追われる個体を群れから外し てしまうと、その群れに戻ることがほぼ不可能な状態になってしまいます。追う個体を群れから外し、落ち着いたら群れに戻す、この繰り返しでワオキツネザルの群れ調整をしています。

現在、群れに入れずケージで飼育している個体が7頭います。その7頭が群れに入れるように各群れとのおみあいや群れ調整をおこない、群れへ合流できるよう取り組んでいます。それと同時に、今後ワオキツネザルの展示を継続していくためには、繁殖にも取り組まなければなりません。飼育下の寿命は25年ほどため、繁殖を計画する場合現在はもちろん、5年後、10年後、20年後まで見据えた計画的な繁殖、調整が必要となります。全頭が無事群れに入ることができ、繁殖させる準備が整いましたら、繁殖に取り組んでいきたいと思います。

(附属動物園部 Waoランド担当  市原 涼輔)

2021年5月29日更新
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