新しく資料置き場をつくる
骨格標本4400点、液浸標本7300点、民俗資料5600点、そして図書が10000点……モンキーセンターには膨大な博物館資料を有しています。これだけ多くの物があると問題になるのがその置き場所です。資料が増えていくことでどんどん手狭になっていく資料の収蔵庫。これを解消するためには既存の資料を廃棄するか、新たな資料の置き場所を作るかの二択しかありません。しかし博物館として資料を廃棄するのは最終手段であるべきです。廃棄してしまえば二度と使えなくなります。ということで、新たな置き場所を作ることにこの2か月ほど苦心してきました。ちょうどよさそうな場所を確保することができたので、棚を組み立て、コツコツと大量のダンボール箱に入った資料を移動してきました。まだまだ作業は終わっていないのですが、ようやく2部屋を作ることができました。

1つは図書室です。かつては図書室があったのですが、ここ数年、さまざまな事情でモンキーセンターの蔵書のほとんどが段ボール箱に詰めて保管されていました。それをこの度開封して配架してみました。古い本から最近の本まで多数の本が並びます。なかには貴重な本があるのかもしれません。


もう1つは資料室です。今年の2月に寄贈いただいた600点を超える三猿資料、そして収蔵庫の棚を埋め尽くしてあふれていた骨格標本の一部などを引っ越しする場所を作ることができました。これでしばらくは安心です。

白いケースには民俗資料が保管されている。棚の手前は大凧。

右側の棚、小さな段ボール箱は骨格標本が入っている。
左側の棚にあるのはパネルに仕立てられた国内外の動物園のポスター類。

こうして物を整理しているといろいろなものを発掘することができるのは作業中の楽しみの1つです。発掘品の1つが1956年から2001年まで発刊されていた雑誌「モンキー」です。その第1号から200号までが1束まとまって出てきました。とくに初期のものはモンキーセンターにもほとんど残っていません。貴重なものを見つけることができました。ほかにも過去モンキーセンターが作ったグッズも出てきました。大胆な色使いのカルタは2004年に制作されたものだそうです。

整理したいもの、しないといけないものはまだまだたくさんあります。過去の飼育日誌や事務資料など蓄積した紙資料はまだ手付かずのままダンボール箱に入れられたままですし、標本ももう少し移動しないと場所の問題は解決しません。一方で整理していくとまた何かおもしろいものが見つかるかもしれません。そんな期待感を胸に、もう少し作業を続けることにします。
(学術部 キュレーター  新宅 勇太)


2021年8月31日更新
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