特別展のウラ話③ 特別展内の足あと
 特別展「妙高高原のスノーモンキー~冬の笹ヶ峰でニホンザルをさがす~」をご覧になった方は、床にいくつかの動物の足あとがあることはお気づきでしょうか。

 現在特別展示室には、ニホンザル、イノシシ、キツネの3種の動物の足あとがあります。これらは江藤さん発案で、作成は私がおこないました。





 これらの足あとや動物の元の写真は、主に共同研究者の杉山茂先生(静岡大学)や赤見さんが笹ヶ峰にニホンザルの調査に行った際に撮影したものです。
 せっかくなので動物の元の写真や動画をご覧ください。



(左)ニホンザル センサーカメラに写ったもの。群れで移動中のひとこまで、この前後の写真にも他のニホンザルが写っていた。
(中央・右)ニホンザルの足あと



(左・中央)キツネ センサーカメラに写ったもの。2枚とも同じ日の同じ場所の写真。狩りに出て無事に成果があったようだ。
(右)キツネの足あと



イノシシ センサーカメラに写ったもの。モンキーセンター周辺で出るイノシシと比べると明らかに毛が多く長い。

イノシシの足あと

 足あとを作る際に一番気をつけたのが、実際の大きさになるようにすることでした。元の写真は足あとの大きさが分かるように定規などと一緒に撮影されていたため、それを参考にして大きさを調整しました。
 本当は動物自体も実物大にしたいところでしたが、これらはセンサーカメラで撮影された写真や動画が元になっているため画質があらく、あまり拡大できませんでした。
 足あとを実物のサイズになるよう調整し出力してみたら、イノシシの足あとが異様に大きいと感じました。測ってみると、蹄の先から副蹄(ふくてい)の端まで13cmありました。
 縮尺は確かに合わせたはずだが、本当にこんなに大きいものなのだろうかと不安になり、赤見さんと新宅さんに確認しました。すると、おふたりもこんなに大きいことあるだろうか、縮尺は本当にあっているのかと驚いているようすでした。その後おふたりと色々と考えましたが、寒い場所でくらしているので少し体が大きい可能性も考えられるし、よく考えたら大きめのイノシシはこんなものだと思うよ!とのことでした。あるいは、踏み跡の雪が溶けて広がったことで、実際の足あとより大きく見えているのかもしれません。結局大きすぎる疑惑のあったイノシシの足あとは、サイズに問題はないということでそのまま設置されました。この記事を書くにあたり改めて見てみましたが、問題ないと分かっていてもやっぱり大きいなと感じます。気になる方はぜひ特別展を見にいらしてください。
 足あと作りは、あまり使い慣れていない画像編集アプリケーションソフトウェアを使っての作業だったので少々大変でしたが、設置しているアンケートで足あとがよかった、かわいかったなどの感想をいくつかいただき、作ってよかったなと思っています。

イノシシの足あと 定規と並べて撮影されており、大きさがわかる
 余談ですが、赤見さんからはノウサギとその足あとの写真もいただいていて、「ノウサギの足あともつくってほしいなぁ」とお願いされています。早く作らなきゃと思いながらもう2ヶ月もたってしまいました…。ここに書いちゃったので、今年中に設置するように頑張ります!

(学術部 エデュケーター  阪倉 若菜)

2021年12月24日更新
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