『寄附型のレンタル農園』の取り組み
 日本モンキーセンターでは、2019年から通販サイトとWebサイトを通じて、消耗品や飼料のご寄附を沢山いただいてきました。いつもご寄附ありがとうございます。そして2021年からは、これらのような消耗品や飼料ではなく、耕作放棄地を農地として借り、サツマイモを植え付け、収穫したものの一部をモンキーセンターに寄附する『寄附型のレンタル農園』の取り組みもはじまりました。こちらは、“れこると大須”様(株式会社レコファーム様)からご提案いただいた支猿プロジェクトです。(詳しくはこちら⇒https://recolte-osu.com/

 支猿プロジェクトのうち、飼育員が植え付けと収穫をおこない、全部サルたちのお腹に入れる全支猿プランのお申込みをたくさん。2021年は、みなさまからご寄附いただいた約4000本の苗を植え付け、約6トンのサツマイモを収穫させていただきました。約10人がかりで植え付けに9時間、収穫は15人以上が参加しましたが結局2日がかりになりました。普段の仕事で体を使っているので余裕かと楽観しておりましたが、農業と飼育作業では使う筋肉がまったく違いました。手伝ってくださったみなさま、ありがとうございました。

 6トンと聞くとみなさまはどれくらいのサツマイモの量を想像されるでしょうか。以前、80kgのサツマイモをご寄附いただいた際に「1日分は無いです」と言ったら、新聞記者の方がとても驚いていました。実はサツマイモは、約800頭のサルたちの主食ですので結構な量を消費します。本当にそんなに消費しているか分からなかったので、そのあとでモンキーバレイだけで1日の必要なカロリーを計算したのですが、モンキーセンターのヤクシマザルの平均体重が7 kgですので、1頭あたりのエネルギー要求量は480 kcal、それが136頭で65,280 kcalになります。大体6割くらいをサツマイモとすると、サツマイモが1 kgあたり1,320 kcalですので、全部で1日あたり30 kgほどが必要となります。




 実際に給餌している量がその程度ですので、園内の他の施設もこの計算で合っていると思います。ヒヒの城のアヌビスヒヒは、頭数はモンキーバレイの半分ですが、ヤクシマザルの倍くらいの体格なので、サツマイモの消費量は同じくらいで30 kg。そして小型マカクの多いアジア館と、大型のマントヒヒとバーバリーマカクのくらしているアフリカ館もそれぞれ合計体重はモンキーバレイと同じくらいなので、消費量も30 kg程度だとすると、この4施設だけで1日120 kg近くを消費している計算になります。すなわち、季節や天候にもよりますが、モンキーセンターでは6トンのサツマイモは、2ヶ月もたないくらいでなくなります。実際、今回の支猿プロジェクトでご支援いただいたサツマイモも10月25日に収穫し、12月末には全部動物たちのお腹の中へ入りました。

 こちらの『寄附型のレンタル農園』の取り組みも今年で2年目となりました。多くのご支猿ありがとうございます。今年も6月26日にみんなでサツマイモを植えに行きます。昨年度は3トン見込み(実際は6トン収穫)分のサツマイモを植えました。今年度は4トン見込み(10トン収穫目標)分のサツマイモを植える予定です。サツマイモの保管に関しては素人ですので、まだまだ課題はありますが、10トンで4ヶ月分くらいになりそうです。なお、サツマイモを保管するためのコンテナなど、もし余っていたらぜひお譲りいただければと思います。そのほか「こんな保存方法が、エコでコスパ良いよ!」や、「うちにビニールハウスが余っているよ!」というものがあればぜひ教えていただきたいです。

 詳しくは、こちらのページをご覧ください。(https://sites.google.com/view/jmc-fr2

(附属動物園部 北園担当  舟橋 昂)

2022年6月9日更新
関連キーワード:動物園、寄附