ルイの群れ戻し
ミナミブタオザルの♂ルイが、5月21日に群れに戻りました。昨年の10月27日 に、背中の傷が広くなってしまったので(右写真)、群れから離し、単独飼育で経過観察 していました。当時かなり痩せていたルイ君。足腰もヨボヨボしていたので、年齢的に限 界が近づいているのかと心配でした。ですが、食欲は落ちずモリモリ食べて、半年で健康 的に大きくなりました。少し段差のある止まり木も昇り降りできます。ルイって強いなー と思いました。
群れには3頭(♂マロン、♀マリー、♀アンジ―)がいます。アルファ♂のマロンが、ルイを攻撃しないか気がかりでしたが、ルイの元気っぷりを見て群れに戻そうと担当者で話し合 いました。バリアフリーな昇降通路も運動場と室内に設置しました。5月20日、運動場で移動ケージ越しにお見合いしてもトラブルなく過ごしていたので、翌日同居することにし ました。

5月21日、群れに戻ったルイは堂々としていました。緊張気味にルイに近づくマロン。すぐ にルイにお尻を見せて挨拶しました。ホッと一安心です。夕方には、マリーとアンジーも 挨拶をすませ毛繕いをしていました。少しマロンが反抗的な態度をとっても、ルイは小さ な体でマロンを制します。本当に強いなーと感じました。その様子の動画などは機会があ りましたら、ご紹介したいと思います。

ルイは高齢個体です。いずれ群れの中ですごせなくなることが起こると思います。よーく 観察して前兆に気が付けるよう担当者間で情報共有します。今、写真を撮って連絡しあっ ているのは「背中の赤み」です。群れと別れる要因のひとつだった「背中の傷」ですが、 これはケガではなく愛ある毛繕いの結果なのです。ルイの背中の皮は薄く、毛繕いの頻度 が上がると赤みを増して皮膚が剥げてしまいます。瘡蓋ができても剝がされるので治りも 遅く、群れの中では完治しにくいです。その赤みが少し背中に出てきました。油断しない ように、ルイの背中を見守りたいと思います。

(附属動物園部 アジア館担当  坂口 真悟)

2023年6月1日更新
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