あっちにもこっちにも引っ越し完了
 新施設『原野と森の家』が完成し、少しずつ進めていました動物たちの園内移動がついに一段落しました。私が担当しているアフリカ館からは、パタスモンキー7頭(移動後にオスのアトラスが亡くなったため現在は6頭)、アビシニアコロブス3頭、マントヒヒ3頭、アヌビスヒヒ1頭が原野と森の家へ、バーバリーマカク11頭がアフリカセンターへ移動しました。JMCの施設の中でも最古であるアフリカ館、つくりも昔ながらのモンキーアパート型でインフラも所々ボロがでてきています。そんなアフリカ館ですが今回の移動で大活躍した部分があります。

それがここです。
こちらはサルが室内と屋外へ行き来するための通路です。アジア館や南米館には通路はなく、のれん状の鉄板で出入りを操作するのですが、アフリカ館には室内と屋外をつなぐ短い通路があります。この通路のおかげで今回の移動の大半を無麻酔で行うことができました。


方法は、普段から使っている通路なので動物たちの警戒が薄いのか?通過している所で両側の出入り口をさっと閉め、この写真のように赤線部分に木の板を差し込み青丸部分に通路の対象個体を隔離します。そして左側の出入り口から運搬用の箱を入れ、仕切っていた木の板を外すと残りのスペースより広い箱の中に入っていき、その箱のまま移動先の施設へ運んでいきます。

※どうしても入りたくなくて抵抗する個体もいますが、最終的にはみんな入ってくれますし、運搬用の箱に入らないようなマントヒヒたちはこの部分で麻酔の注射を打つことができました。




アフリカ館ではこれができることで大きな捕獲網を持って飼育スペースに入り捕獲する動物にも人にも負担や危険のある捕獲方法をすることなく今回の大移動を進めることができました。

今回はそんな昔ながらの施設の裏側を紹介させていただきました。各施設よーく見てみると所々工夫されているところがありますので、動物たちだけでなく施設の方にも注目してみるとまた新しい発見があるかもしれません。

(附属動物園部 アフリカ館担当  星野 智紀)

2023年7月5日更新
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