ベルリンの2つの動物園と霊長類の展示
日本モンキーセンターの将来的な施設改修を視野に海外動物園研修のためのご寄附をいただき、2023年9月にヨーロッパの動物園を訪問する機会をいただきました。5カ国11園を訪問する旅程のうち私は4カ国(ドイツ、オーストリア、チェコ、スペイン)8園ほど行かせていただき、合計で約65種の霊長類の展示を見ることができました。各園がかなり濃密でしたので、その中のドイツの首都ベルリンにある動物園について報告させていただきます。
ベルリンには大きな動物園が2つあります。西側にあるベルリン動物園(Zoo Berlin)と東側にあるティアパーク・ベルリン(Tierpark Berlin)です。ベルリン動物園は1844年に開園したドイツで最初の動物園といわれており、ティアパーク・ベルリンは1958年(第二次世界大戦後のベルリンが東西に分かれていた時代)に開園した動物園です。昔はライバル関係だったようですが、現在では両園とも協力関係にあり、それぞれ違った特色を持った動物園でした。
先に訪れたのは西側にあるベルリン動物園です。ドイツ最古の動物園ということもあり、昔の外観を残したままの建物やベルリン動物園に関わってきた人物や動物の像などが園内随所でみられ、とても歴史を感じられる動物園でした。
ベルリンには大きな動物園が2つあります。西側にあるベルリン動物園(Zoo Berlin)と東側にあるティアパーク・ベルリン(Tierpark Berlin)です。ベルリン動物園は1844年に開園したドイツで最初の動物園といわれており、ティアパーク・ベルリンは1958年(第二次世界大戦後のベルリンが東西に分かれていた時代)に開園した動物園です。昔はライバル関係だったようですが、現在では両園とも協力関係にあり、それぞれ違った特色を持った動物園でした。
先に訪れたのは西側にあるベルリン動物園です。ドイツ最古の動物園ということもあり、昔の外観を残したままの建物やベルリン動物園に関わってきた人物や動物の像などが園内随所でみられ、とても歴史を感じられる動物園でした。
こちらの写真はオスのゴリラ「ボビー」の像で、1935年まで生き、生前に262kgあったとされています。ベルリン動物園のロゴもこの「ボビー」がモデルなのだそうです。
ベルリン動物園では、ボノボ、チンパンジー、ニシゴリラなどの大型類人猿からベンガルスローロリスやグッドマンネズミキツネザルなどの曲鼻猿類まで幅広い霊長類種が飼育されており、さまざまな展示を見ることができましたので、その一部をご紹介します。
ニシゴリラがいる屋外放飼場は2つあり、片側ではニシゴリラの1グループ(写真左)、もう一方では世界最高齢のメスのニシゴリラ「ファトゥ」が1頭でくらしていました(写真右)。
ニシゴリラがいる屋外放飼場は2つあり、片側ではニシゴリラの1グループ(写真左)、もう一方では世界最高齢のメスのニシゴリラ「ファトゥ」が1頭でくらしていました(写真右)。
ニホンザルも展示されており、日本の動物園でも見られるサル山のような放飼場でした。
ハヌマンラングールの屋内施設は古そうでしたが、登り木やロープなどを設置して動物が快適にくらせるような工夫がありました。
グッドマンネズミキツネザルは夜行性動物のエリアに展示されており、同じくマダガスカル島に生息するヒメハリテンレックとの混合展示でした。写真では明るく見えますが実際はかなり暗いです。
続きまして、東側にあるティアパーク・ベルリンの報告です。
こちらの動物園は160ha(東京ドームは4.6ha)という圧倒的な広さが特徴的な動物園でした。ベルリン動物園もかなり広かったのですがティアパークはもっと広く、速足で歩かないと開園時間中にすべて見て周ることができない規模でした。
こちらの動物園は160ha(東京ドームは4.6ha)という圧倒的な広さが特徴的な動物園でした。ベルリン動物園もかなり広かったのですがティアパークはもっと広く、速足で歩かないと開園時間中にすべて見て周ることができない規模でした。
広大な敷地で大型草食動物を多く飼育している印象が強い動物園でしたが、霊長類も多く飼育されていました。
大型類人猿や夜行性の霊長類はいませんでしたが、キツネザル類(コクレルシファカ、アカハラキツネザル、マングースキツネザルなど)や中南米の霊長類(アカホエザル、ヒゲサキ、シロガオサキなど)が多く、ほかにシロテテナガザルやミナミブタオザル、バーバリーマカク、ゲラダヒヒなどがおり、ベルリン動物園とは異なる種の霊長類が多く飼育されていました。
コクレルシファカは屋外屋内放飼場ともに見られるようになっており、木から木へ軽快に跳びうつる姿を観察することができました。
コクレルシファカは屋外屋内放飼場ともに見られるようになっており、木から木へ軽快に跳びうつる姿を観察することができました。
アカホエザルは滝のある広い放飼場内で、キムネオマキザルとの混合展示でした。
シロテテナガザルの展示場は水モートで囲われており、竹(人工物か自然物か不明)で組まれたやぐらで休んでいる様子が見られました。
ミナミブタオザルは、緑豊かな広大な放飼場にいました。
報告は以上になります。両園を比較してみて、ベルリン動物園は霊長類以外の動物種も幅広く、バランスよく展示されている印象でした。一方、ティアパーク・ベルリンはベルリン動物園と比べて動物種に偏りはありつつも、敷地の広さを生かし中型・大型動物に特化している印象でした。今回の研修で、日本では飼育されていない、もしくは飼育数が少ない霊長類種を多く見ることができるというとても貴重な機会をいただきました。全体的に飼育空間が広いことや、景観を損ねないように擬岩や擬木が多く使われていること、他の動物(霊長類含む)との混合飼育をおこなっていることなどが印象的でした。資金問題だけでなく気候や法律、文化 などの違いもあるため訪問園と同様の展示を作ることは難しいと思いますが、本研修の経験を活かし、将来的によりよい霊長類の施設を作れるように夢を膨らませていきたいと思います。
(附属動物園部 武田 康祐)
2023年11月29日更新
関連キーワード:動物園、ヨーロッパ
(附属動物園部 武田 康祐)
2023年11月29日更新
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