ニホンザルの丘に通うニホンザル
2020年10月15日。
ニホンザルの丘担当2年目。いつものように作業中、気配を感じてふと上を見上げると、 ニホンザルの丘のフェンスの上にニホンザルが1頭。




え!?まさか(脱出か!?)と血の気の引く思いでそこにいるニホンザルの顔を確認したのを覚えています。まだ幼さ残るワカオス。丘の個体ではない、と安堵したのと同時に、園内スタッフへ連絡!スタッフが集まり、追い払いをしました。
何年か前にもちょくちょく姿を見せる立派なオスがいたよなぁなんて、どこか他人事のよ うに懐かしく思っていましたが、その日を境に、野生ザルは毎日のようにニホンザルの丘 に通っています。そんな日々が3年経ちました。

飼育動物やスタッフ、来園者の安全確保や人馴れを防止するために、園内に注意をお知ら せする掲示(近づかない、餌を与えないなど)を設置。スタッフによるパチンコやBB弾銃による追い払いや、園内のカキの木の剪定や熟す前のビワの摘果(泣く泣く実施しました)、獣舎周りの枝の剪定、伐木(全部自前作業)などなど。色々と手を打っていますが、なかなか効果なし。おぼこかった野生ザルも今や立派な野生ザルとなりました。成長を見届けているような、なんとももどかしい感情になります。

また、今まではインプラントによりメスの発情を止めることで繁殖制限をしていましたが 、2022年、インプラントの製造中止により、ニホンザルの丘ではオスの去勢処置による繁 殖制限の方法を選択しました。今後はメスの妊娠が可能となります。そんな折での野生ニホンザルのオスの登場。ニホンザルの丘はフェンスで囲った施設。野生ザルと交尾をしてしまう可能性が出てきてしまいました。




スタッフ総出でフェンスに細かい目の網を設置する作業をしました。モンキーセンターのチームワークのおかげで、ひとまず、問題解決です。農家さんの大変さを身に染みて感じるとともに、『野生動物との向き合い方』についても、日々勉強中です。
(附属動物園部 ニホンザルの丘担当 辻内 祐美)

2023年12月25日更新
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