この10か月の振り返り
 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、改めまして2023年4月に入社しました高田晃行です。実は昨年度までは他園で飼育員をしていました。当然のことながら、私は“新卒” ではありません。そんな私だからこそ持つことができる視点から日本モンキーセンターと 私自身のこの10か月を振り返ります。

 まず、年季の入った施設が多いなと率直に思いました。歪んだ扉や癖のある鍵などです 。扉繋がりで関係することでいえば「なぜ外開き?」と思う扉もあります。細かなことで すが、通常の動物飼育施設の扉は動物の脱走・脱出防止のため外からは押す、内からは引 くつまり「内開き」に造るのですが、モンキーセンターではそれが逆の施設もチラホラあ ります。
 また、私が担当する南米館の中型サルの寝室の扉に寝室内を観ることが“できない”窓が あります。設置された位置が高すぎるため身長が180cmほどある人でなければ中を観る ことができません。身長163cmの私は毎日扉をクライミングして寝室内を確認します。 その他雨漏りや排水関係はすぐに詰まってしまいます。
 そして他園に比べて一人一人の作業量が多いようにも思います。1年目からイベントに 参加するとは思いませんでした。有料のイベントは特に緊張します。日々の作業に加えて 他の業務をこなしている先輩方には感服すると共に私もやれる仕事を増やさなければなら ないと常に思います。


 ここまでまるで職場の悪口のようになってしまいましたが、不満はありません。なぜならば、私は動物が好きで霊長類が好きであることに加えて、モンキーセンターの個性豊か な仲間たちが面白いことです。パワフルな捕獲の達人、頭のキレが半端ない人、絵をかく のがうまい人、歌の上手い人、音楽家、機械に強い人、格闘家、動物オタク、酒豪etc.こ のように書き連ねるだけでも思わずクスっとしてしまいます。そんな仲間や同僚たちのこ とが好きであり、尊敬しています。
個性豊かで尊敬する人々に囲まれたことによってこの10か月がとても充実し、積み重ね ができる毎日が送れているのだと考えています。積み重ねが増えるほどまた分からないこ とが増えるそれも動物や霊長類の魅力です。
 そうした日々の中で最近新たに私の“夢”が出来ました。かなり漠然としていて、全く具 体的なイメージがない夢ですが、それは「動物園や博物館が子どもを大人にし、大人をよ り成熟した大人にする場所」にすることです。実現する頃にはおそらく私は死んでいます が、人類は月や火星に行けるのだから不可能ではないはずです。こんな漠然とした遠い将 来の夢よりも近い目標や課題としては、自身のやれる仕事の範囲を広げることになります が、大きな夢も頭の片隅にはおいておきたいと思います。

 最後に10か月間私を指導してくださった先輩方、同僚たち、そして日本モンキーセンターを応援し支えてくださる皆様に心の底から一言を「ありがとうございます。そして今後 ともよろしくお願いします。」
(附属動物園部 南米館担当  高田 晃行)

2024年1月27日更新
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