少しだけ遠くから聞こえる歌声
2024年6月よりギボンハウスで一緒に過ごすこととなった、フクロテナガザルのイチゴとライチというペアの近況をご紹介します。

イチゴは23歳のメス、ライチは12歳のオスです。同居に至るまでやその後の様子などSNS等でこれまでにもご紹介させていただきましたが、同居から9ヶ月、春を迎え暖かくなってきたこともあり、その歌声を響かせてくれる頻度も格段に上がってきたように思います。そして、2頭で寄り添っていたり、互いに毛づくろいをしたりする様子もよくみられます。


イチゴからライチへの毛づくろい

同居当初は関係性が決して悪いわけではなさそうでしたが、あまり歌うことはありませんでした。テナガザルにとって歌うこと(デュエット)は親密な関係性が構築された証のようなものとも言えるかもしれません。同じフクロテナガザルたちがくらすエコドームやビッグループで毎日のように歌声が響くなか、イチゴとライチの関係性を見守ってきました。テナガザルは一夫一妻制の社会で野生でも特定のペアで、そして特定のエリアで時には30年以上と長い時間を過ごします。一緒に暮らしている個体や、施設の移動などの環境の変化に慣れていくことは容易ではなかったと思います。

エコドームの方からマユ達の歌声が聞こえて、それに合わせるようにビッグループのリンダ達の歌声が響きます。ひとしきり歌い終わった頃、ビッグループの寝室の掃除に入る時があるのですが、少しだけ遠く、ギボンハウスの方から聞こえてくるイチゴ達の歌声に、手は動かしながらも耳を澄ませるのが日課となっています。



イチゴ(左)とライチ(右)のデュエット

ギボンハウスでの仲睦まじいイチゴとライチの様子や、午前中はお隣のミュラーテナガザルのクリケットの歌声に誘われるように歌い出すこともあるので、ぜひ見に聞きに、会いにきてください。
(附属動物園部 ギボンハウス担当  奥村 文彦)

2025年3月31日更新
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