大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)の情報サイトの紹介
みなさんは大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)というものをご存じでしょうか。大型類人猿情報ネットワーク(Great Ape Information Network)の頭文字をとって「GAIN(ゲイン)」と読みます。

GAINとは、文部科学省が2002年から実施している「ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)」の一つで、京都大学を拠点に、①活動類人猿の国内飼育下個体群の福祉向上、②個体群維持管理への貢献、③非侵襲的学術研究の推進・支援などを目的に事業を展開しており、2024年度から私が担当しています。
現在、日本では61施設で499個体の類人猿(チンパンジー286個体、ボノボ6個体、ゴリラ20個体、オランウータン34個体、テナガザル153個体)が飼育されており、そのすべての 個体情報をGAIN情報サイト(https://shigen.nig.ac.jp/gain/)で公開しており、リアルタイムでの情報更新(出生・死亡・移動情報など)に努めています。過去に日本で飼育されていた個体も可能な限り登録しており、合わせると2,099個体の情報が登録されたデータベースとなっています。

施設別で個体一覧を見ることができるので、訪問予定の施設にいる個体や、訪問した施設にいた個体なども調べることができます。ほかにも家系図や論文なども公開しているので、さまざまな活用方法で楽しんでいただけると幸いです。
個体情報は1頭1頭で異なるため、個体群管理や学術研究などのためにとても重要です。 そのため、日々の情報収集が欠かせない作業となります。ホームページやSNS等での公式発表、飼育施設の方や一般の方からの情報提供などから情報を収集し、場合によっては現地でのヒアリングをおこなうこともあります。非公式情報については許可を得た情報のみGAIN情報サイトで公開しています。

情報収集・公開だけでなく、生体由来試料の収集・研究利用もGAINの重要な任務のため、情報をいただいてすぐに現地へ向かわなくてはいけないときもあります。まだまだ未熟ですが、このような活動で飼育施設-研究者間のネットワークを形成・維持できるように努めています。

…と、書きながら日本モンキーセンターにいる類人猿たちの個体情報ページを見てみたところ個体写真がとても若い…。特にボウシテナガザルのトリックは成長して色が変わっていますね…。
ということで、今年度は日本モンキーセンターの個体の情報更新も頑張っていこうと思います!

お時間があるときに情報サイト(
https://shigen.nig.ac.jp/gain/)を覗いていただけると嬉し いです!
(学術部 武田 康祐)

2025年5月13日更新
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