種が違っても誰かと一緒に
 気づけば、私の人生の半分以上をここ日本モンキーセンター(JMC)で過ごしてきました。これまでの飼育員人生の中で、緊張感があり、そして成功したときに大きな達成感があった試み。――それが「混合飼育」の挑戦です。
 動物園では限りあるスペースでの飼育になってしまうため、群れから攻撃されて追い出されてしまう個体、立場が弱くエサの取り合いに負けてしまい体が細くなってしまう個体、元々群れでくらしていたが仲間たちが亡くなり最終的に単独になってしまった個体などがいます。
 そんな「ひとりぼっち」になってしまった彼らが、種は違っても「誰か」と共に寄り添ってくらせるように。異なる種を同じ部屋で飼育する「混合飼育」をすすめています。私の入社後、はじめは2016年7月にアフリカ館で、ショウハナジログエノンの「ハイチュウ」とベルベットモンキーの「クミ」の同居が始まりました。約半年後にはベルベットモンキーの「ネン」も加わり、今では3頭が穏やかな時間を共有しています。
現在JMCではギボンハウスのシロテテナガザルとミュラーテナガザル、マダガスカル館のクロシロエリマキキツネザルとクロキツネザル、南米館のワタボウシタマリンとクロミミマーモセット、アジア館のタイワンザルとアカゲザルなど11カ所この混合飼育が行われています。
 最近では、単独飼育が長かったシロガオサキの「モップ」と、最近同居していた息子のレグルスが死亡してひとりになってしまったヒゲサキの「キーマ」の同居もスタートしました。まだ慎重に観察を続けている段階ですが、いつか寄り添った姿を見られる日を楽しみに静かに見守っています。
 混合飼育がうまくいくと、単独飼育の解消だけでなく、飼育環境全体にも良い変化が生まれます。
 例えば、2部屋で飼育していた2頭を1部屋にすることで1部屋空きスペースが作れます。これによって、バックヤードの狭い部屋にいた個体を、より広くて日当たりの良い場所へ移すことも可能になりました。

 もちろん、すべてがスムーズにいくわけではありません。
 孤独な時間が長かった個体には、それぞれに複雑な事情があります。新しい環境が逆に負担になってしまうことのないよう、私たちは日々観察を続けています。

 一頭一頭のペースを大切に。
 これからも彼らが「より良い環境」で、そして「信頼できる仲間」と過ごしていけるようこれからも努めていきます。
(飼育部  星野 智紀)

2026年5月21日更新
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