子を抱き続けたバーバリーマカク
※この記事には死んだ子の写真が載っています。苦手な方はお気を付けください。
2026年4月29日の午前、休日だった私の元に「バーバリーマカクのツィーが出産しました!」という情報が届きました。これまで繁殖制限をかけていて、妊娠&出産を止めていましたが、2024年より制限を解除して、繁殖を目指していました。昨年は残念ながら出産はなく、今年こそは!と願ってすぐのタイミングでした。出産を祝う内容をアフリカセンターのメンバーに伝えましたが、その直後、生まれた子が死亡したようだとの報告が届きました。最初は動いていたけれど、その後動かなくなったとのことでした。早産だったのか、何か事故があったのかはわかりませんが、生まれてすぐに息をひきとってしまいました。悲しくて仕方ありませんでしたが、私よりも母親の悲しみの方が大きかったに違いありません。といっても、本当の感情はわかりません。ただ、この後、母親は子を抱き続けました。
霊長類では飼育下だけではなく、野生でも死んだ子を抱き続けることがよく観察されています。バーバリーマカクに近縁のニホンザルの150件のデータを分析した文献には、死んだ子を保持する平均日数が2.93日で、15日間と17日間が1例ずつあっただけで80%が4日以内、18%が5-10日で手放す、とありました。
ツィーは生まれた日から子を抱いていましたが、気候も暖かくなってきている季節で、やはり腐敗は進んでしまいます。数日後には近くにいくと感じる程度の腐敗臭がありましたが、ツィーは子を足元や近くにおいて見つめていることが多かったです。
2026年4月29日の午前、休日だった私の元に「バーバリーマカクのツィーが出産しました!」という情報が届きました。これまで繁殖制限をかけていて、妊娠&出産を止めていましたが、2024年より制限を解除して、繁殖を目指していました。昨年は残念ながら出産はなく、今年こそは!と願ってすぐのタイミングでした。出産を祝う内容をアフリカセンターのメンバーに伝えましたが、その直後、生まれた子が死亡したようだとの報告が届きました。最初は動いていたけれど、その後動かなくなったとのことでした。早産だったのか、何か事故があったのかはわかりませんが、生まれてすぐに息をひきとってしまいました。悲しくて仕方ありませんでしたが、私よりも母親の悲しみの方が大きかったに違いありません。といっても、本当の感情はわかりません。ただ、この後、母親は子を抱き続けました。
霊長類では飼育下だけではなく、野生でも死んだ子を抱き続けることがよく観察されています。バーバリーマカクに近縁のニホンザルの150件のデータを分析した文献には、死んだ子を保持する平均日数が2.93日で、15日間と17日間が1例ずつあっただけで80%が4日以内、18%が5-10日で手放す、とありました。
ツィーは生まれた日から子を抱いていましたが、気候も暖かくなってきている季節で、やはり腐敗は進んでしまいます。数日後には近くにいくと感じる程度の腐敗臭がありましたが、ツィーは子を足元や近くにおいて見つめていることが多かったです。



ニホンザルでは80%が手放す4日目でもツィーは手放しませんでした。徐々に臭いも広く漂うようになり、風向きによっては臭いを感じ取った来園者もいたかもしれません。ハエもたかっており、蛆を取っていたのか、ツィーは子の毛づくろいをよくおこなっていました。このときあたりから、ツィーは子の臭いをかいだり、子を置いて離れたりする時間が徐々に増えていきました。離れる時間が増え、離れる距離も遠くなっていき、子の近くにツィーの姿が見えないこともありました。しかし、掃除や給餌のタイミングで屋外運動場から屋内運動場へ、屋内運動場から屋外運動場へ、と移動するときにはかならず子を抱えて移動していました。10日経過しても変わりません。


腐敗はほぼ終わり、骨とそれをくるむ皮だけのミイラ状態になっていきました。
3週間後ぐらいに変化が訪れました。これまで移動のときには子を抱えていたのが、咥えるようになりました。咥えて移動しては取られない場所に置き、また咥えて移動する、そんな日々を過ごしていました。
3週間後ぐらいに変化が訪れました。これまで移動のときには子を抱えていたのが、咥えるようになりました。咥えて移動しては取られない場所に置き、また咥えて移動する、そんな日々を過ごしていました。

これまで何回か、ツィーから子を取り上げることのできる機会はありました。ツィーと子の間の扉を閉めることができそうだったときに隙間からツィーが引っ張ろうとしたり、実際に閉めることができたときもツィーが扉越しに見つめていたり。そのまま強行すれば子を取ることはできたと思います。しかし離れる時間、離れる距離が増えつつも、まだ手放したくないというツィーの感情が伝わってくるような気がして再度ツィーの元に渡しました。近年の考えでは、霊長類においては死子を無理に取り上げると母親に余計なストレスを与えてしまうことになり、動物福祉の観点から好ましくないとされています。母親が精神的あるいは生理的に子の死亡を受け入れる状態になるまで待つべきといわれているため、当園でもツィーが納得するまで、あきらめがつくまで、あるいはもういなくても大丈夫となるまで、今はこのままで様子を見ようとなりました。 そんな中、5月24日にツィーの妹であるユンが出産しました。ユンの子も残念ながら生後4日目に死亡し、ユンも死んだ子をしばらく抱いていましたが5日目で手放しました。さらに6月6日に、ユンの娘であるユンフーが出産しました。ユンフーの子は現在すくすくと成長しています。2頭の出産と育子を見ていたからなのか、ツィーはまたミイラになった我が子を手元に置く時間が増えるようになりました。
そしてついに、53日目の6月21日にツィーは子を手放しました。たまにユンフーの子を抱く機会があったため、我が子への執着が薄れていったのかもしれません。今回は残念な結果ではありましたが、ユンフーの子を一緒に育ててくれることを期待し、さらには来季の繁殖で我が子を抱けることを願っています。
(飼育部 田中 ちぐさ)
2026年6月25日更新
関連キーワード:動物園、子ども、死
そしてついに、53日目の6月21日にツィーは子を手放しました。たまにユンフーの子を抱く機会があったため、我が子への執着が薄れていったのかもしれません。今回は残念な結果ではありましたが、ユンフーの子を一緒に育ててくれることを期待し、さらには来季の繁殖で我が子を抱けることを願っています。
(飼育部 田中 ちぐさ)
2026年6月25日更新
関連キーワード:動物園、子ども、死




