ふしぎなふしぎなメガネザル

以前ご紹介した金色のシルバールトンのお話しに引き続き、ボルネオ島のサルのお話しです。今回は夜の出来事・・・。

 

「メガネザル」という名前は、多くの方がご存知でしょう。「メガネ」と「サル」という簡単な言葉の組み合わせで、とっても覚えやすくイメージしやすい名前ですよね。分類的にも興味深いサルで、昔の図鑑ではロリスやキツネザルと同じ「原猿類」に分類されていましたが、今ではもっと古い時代に分岐し独自に進化したと考えられています。動物図鑑でも外すことのできない動物です。

 

しかし意外にも、日本でメガネザルを見ることは難しいのです。昔はモンキーセンターでも飼育していましたが、現在はいません。上野動物園で数個体が飼育されていますが、現在は非公開のようです。毛のないしっぽといい、大きすぎる眼球といい、ぜひ会ってみたい!


夕暮れのキナバタンガン川をボートで行く

実は、今回訪れたボルネオ島にもメガネザルは生息しています。しかし夜行性で俊敏な彼らを見つけることはできないだろうと、初めから諦めていました。夜行性と言えばスローロリスもボルネオ島に生息しています。ゆっくり動くスローロリスなら見つけることができるかもしれないと、夜の森に入りました。

 

地元のガイドの方がスローロリスを見たことがあるという森を案内していただき、いかにも彼らが好みそうな細い枝やつる植物が入り組んだ森を探すこと2晩。全く見つけることができず諦めかけた2晩目の夜遅くに、ガイドの方が見つけてくれました!スローロリス!? じゃなくて、メガネザルではないですか!


茂みの奥のメガネザル。ほぼヒトの視線と同じ高さで動かない。

俊敏なイメージとはうらはらに、木の幹につかまったまま全く逃げることもせず、首をゆっくりと動かすだけ。そのおかげで、弱い光でも写真を撮ることができました。私が知っているどのサルとも違う細長い手足の指。曲げた膝があごにまでついてしまいそうなほど長い後肢。願わくはその後肢を使ってジャンプする姿を見たかったのですが、あまり長時間の観察は申し訳ない気がしてその場を後にしました。

 

思いがけないことが起こるのが、フィールドの醍醐味でもありますよね。スローロリスには会えませんでしたが、驚きとふしぎがいっぱいのボルネオ研修でした。


※本研修は科学研究費助成事業 JSPS-16K01205、および京都大学霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院の支援を受けて実施されました。
(学術部 キュレーター 赤見 理恵)

2018年2月10日更新
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