マンドリルのニースケは今、ヤッシとニコンと一緒です。

ニースケ(手前)の奥でグルーミングするヤッシとニコン(奥)

遡ること半年以上前となりますが、2019年の冬。
マンドリルたちがくらす、アフリカセンターではある事件が起きていました。

群れのαオスであるキンシャサ(おとなオス)に、ニースケ(わかものオス)が挑み、ケガを負わせてしまいました。放心状態で座り込むキンシャサと対照的に、肩をいからせるように堂々と歩くニースケ。翌日、治療を終えたキンシャサを群れ戻すとメスたちはキンシャサのもとへ。そこで、再びニースケと対峙することとなりました。

今度はキンシャサに軍配があがりました。
このまま勝負がつけば、ニースケもまだ群れのなかでくらせるかもしれないと思い、お見合いをして様子をみることにしたのですが、ニースケの勢いはおさまりませんでした。2019年4月に群れ入れを断念し、非展示エリアでくらす、オスたちとの同居を試みることになりました。

真正面から向き合うニースケ(左)とキンシャサ(右)
非展示エリアでは立派な体格のガボン(おとなオス)とヤッシ、ニコン、サンフジ(こども~わかものオスくらい)の4頭がくらしています。ガボンは以前、群れでの同居によるストレスが原因で自傷した経験があります。ニースケを含め5頭での同居も検討しましたが、まずは2組に分けて、そこで相性をみることにしました。

ガボンとの同居は、いつも距離をとってくれるおとなしいタイプのサンフジを。

ニースケとは、やんちゃ盛りではあるものの、年の近いヤッシとニコンを。

育成箱の中に入り込むサンフジ


出入口で休むヤッシ(左)と高いところを好むニコン(右)

同居初日、ニースケとヤッシは徐々に距離を詰め、もみくちゃになるもすぐ離れるということを数回繰り返し、折り合いがついたようでした。ニコンがニースケに見られない位置から1回攻撃していたことは、今となっては見なかったことにします。翌日からはマンドリル特有の口角を上げ、犬歯をむき出す「ニィッ」というあいさつや、ヤッシがニースケにお尻を向けたりする行動がみられました。

マンドリルのあいさつ(写真はガボン)


それぞれが群れのなかで育ち、ほかの仲間と一緒にくらしてきた経験があったため、大きな問題にならなかったのかもしれません。

オス群れのα的な立場となったガボンとニースケは、隣がやはり気になるみたいですが、なんとか落ち着いて過ごしてくれているようです。


隣の様子を伺うニースケ(左写真右下)とガボン(右写真)

霊長類の中で最大の群れを形成するといわれているマンドリル。
ただ、その群れの中にはおとなのオスはごくわずかしかいません。

マンドリルのオスにとって、どういったくらしが幸せなのか。
常に考え、少しでもより良くなるよう実践していきたいと思います。

最後に宣伝です。
モンキーセンター、夏の一大イベント甲子猿! (イベントページはこちら
われらがAC学園は準決勝へと駒を進めました。
試合当日には、ここで紹介させていただいたマンドリルたちも登場します。
是非、足を運んでいただければ幸いです。
(附属動物園部 アフリカセンター担当  奥村 文彦)

2019年8月11日更新
関連キーワード:動物園、アフリカ、同居


マンドリルのガボンの記事はこちらから