特別展のウラ話① ニホンザル調査に行けない
 9/18(土)、特別展「妙高高原のスノーモンキー~冬の笹ヶ峰でニホンザルをさがす~」 がオープンしました!最近スタートした妙高市笹ヶ峰地域でのニホンザル調査のようすをご紹介しています。しかし実は新型コロナウイルスにより調査は難航。今回は、ちょっと表には紹介しにくい苦労話をご紹介します。
特別展オープン前日の夜の写真。

 いちばん困ったことはズバリ、調査に行けないこと(T^T)。
 トヨタ自動車株式会社のトヨタ環境活動助成プログラムのご支援を得て、本格的に調査をスタートさせたのが2020年1月でした。2020年1月の集中調査ではサルこそ見つけられなかったものの、山スキーのスキルや土地勘を得ることができ、2020年2月の集中調査ではドローンでサルの群れを発見!直接観察もでき、今後の調査の見通しが明るくなりました(1月と2月の調査の様子は、以前の記事で紹介しました)。

2020年2月の集中調査での集合写真。サルを見つけて満面の笑顔♪

 しかしそんな矢先、2020年3月ごろから新型コロナウイルスの感染拡大が起こりました。
 JMCでは2020年3月から臨時休園日を設け、4月11日からは臨時休園期間に入りました。そのような中、調査に行くわけにはいきません。2月に見つけた群れが、そのあとどうなっているのか。春の芽吹きを堪能しているのだろうか。など、気になって仕方がありません。
 実は感染状況が落ち着いたタイミングで何度も調査再開を計画しました。しかし毎回のように次の感染の波が来てしまい、計画を断念する日々が続きました。(つらかった、、、)

 そんな中、救いになったのはセンサーカメラによる調査です。調査メンバーのひとり、杉山茂先生(静岡大学)は京大山岳部OBで、調査の拠点となる「京大ヒュッテ」の管理のため定期的に調査地に入っています。2020年2月の集中調査で設置したセンサーカメラを定期的にチェックし、動画を共有してくださったのです。センサーカメラ、すごいですよね。現地に行けない状況のなか、サルの群れがどこでいつ映ったのか、他にどのような動物がいるのかを知ることができました。


センサーカメラでとらえたサルのようす

 そして、何度も計画しては断念していた集中調査を、やっと実施できるタイミングが訪れました!感染状況が落ち着いてきた2021年6月末のことです。もちろん感染防止策は万全にしました。電車ではなくレンタカーで移動し、途中休憩や買い出しは最低限に。現地ではさまざまな方にお会いしたい気持ちを抑え、調査地へ直行しました。帰りは、毎回恒例の温泉(調査終了後のいちばんの楽しみでした)もガマン。それでも初夏のサルたちのようすをしっかり観察できました。

観察中の根本さん

 今回の特別展では、2020年1月と2月、そして2021年6月の調査の成果を中心にご紹介しています。サポーターのみなさまが特別展を見てくださる機会があれば、こんな苦労があったんだな~、と思いながらぜひ展示をご覧いただければ幸いです。
(学術部 キュレーター  赤見 理恵)
2021年9月30日更新
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