特別展のウラ話② 調査員こだわりのポーズ
特別展全景

 9/18(土)から開催している特別展「妙高高原のスノーモンキー~冬の笹ヶ峰でニホンザルをさがす~」のウラ話。今回は特別展示室の中央に位置する調査員人形のおはなしです。
 はい。これが特別展オープン時の調査員人形の姿です。 一瞬のポーズにいろいろな情報を詰め込んだ、こだわりのポーズとなっております。 雪山での調査に欠かせない山スキーの、カカトが外れるところ※1、裏にシールがはってあるところ※2、ストックのリングが大きいところ※3、ストックが少し長めなところ※4、ヘルメットにゴーグル※5、キャップのついた双眼鏡※6などなど、装備のこだわりを全部紹介するために、最終的に落ちついたのがこのポーズなんです。




詳しく知りたい方は以下をどうぞ。
※1:雪上を歩くとき歩幅をしっかり確保できるよう、山スキーはカカト部分を外すことができます。
※2:シールをスキーの滑走面に貼ると、前には滑り後ろには滑らなくなります。斜面を登ることも多い山スキーでは必須の道具です。昔はアザラシの皮を使っていたことから「シール」と呼ばれるそうです。
※3:山スキーのストックのリング(ストックの先端についている円盤状のパーツ)は、ふつうのスキーのものに比べて大きいです。ふつうのリングでは、深くやわらかい雪ではすぐにストックが埋まってしまいます。(笹ヶ峰では大きなリングでも埋まってしまうことがしばしばですが、、、)
※4:クロスカントリーと同じように、斜面を滑るよりも歩くことの方が多い山スキーでは、ストックは長めに持ちます。長さを変えることができるので、急な斜面を横に移動するときには、左右のストックの長さを変えることもあります。
※5:森の中を滑るとき、ヘルメットとゴーグルは必須です。木の枝が当たってキズだらけになったヘルメットを見ると、ちゃんとつけていてよかったと思うこともしばしば。ゴーグルは降雪の中で視界を確保するときにも必要です。
※6:双眼鏡にキャップをつけていないと、レンズに積もった雪が固まり、使い物にならなくなってしまいます。


 想定シーンは、「雪原を歩いていて、前方にサルを見つけて急いでストックを小脇にかかえ双眼鏡を覗く」シーン。実際のところは、双眼鏡を覗くときにはカカトは上げていません。だって体を安定させて視線の先に集中したいですからね。ですが、その両方を表現しようと、欲張ったポーズとなっています。
 ところが、特別展オープン後にE学芸員より痛恨の指摘をもらってしまいました。
「荷物は持ってないんですか?」

 あーーー!しまった。調査中はいろいろな調査用具(シールの袋、カメラ、地図、コンパス、スケール、チャック付き袋、トイレットペーパー、非常食などなど)を必ず持っているので、カバー付きのザックは必須の装備です。ついついポーズにばかり気を取られて、ザックを背負わせるのを忘れてしまっていました。

ということで、こちらがザックを背負った調査員人形です。
 実はまだ、手を加えたいところが何か所かあります。
 現在はスキー板のウラに貼っているシールが見えない状態になってしまっているので、片足前方を少し上げさせて、シールの一部を触っていただけるようにしたいのです。そのために、何かに少し足をかけて登ろうとしているようなシーンにできないかなと考えています(また設定が混みすぎてしまいますが・・・)。お楽しみに!

(学術部 キュレーター  赤見 理恵)


これまでの特別展のウラ話
①ニホンザル調査に行けない

2021年10月30日更新
関連キーワード:野外調査、ニホンザル