ブータンはネコ大国。干支にネコ年まである!

年の瀬も押し詰まり、新年を迎える準備もラストスパートですね。

この季節になると、決まって話題に上るのが干支。今年は申年でしたので、年始のお参りでも日本モンキーセンターは賑わいました。

さて、この干支ですが、古代中国からアジアに広く伝わり、暦などに使われる数詞です。この十干十二支が一回りすると、人間は「還暦」を迎え、長寿を祝う会が催されるのも、東アジアに共通の風習のようです。

ただ、十二支の中身を見ると、微妙に動物が入れ替わっていて、お国柄が出るのも面白いところ。日本モンキーセンターがプロジェクト支援をしているブータンでは、チベット仏教の暦を使いますが、何と卯年の代わりにネコ年があります!

12種類しか入らない動物の中で、直前に寅年があるにも関わらず、さらに猫を加えるというのは、よほどネコが身近な人々という気がします。実際、ネコ年を持つ国にふさわしく、ブータンには野生のネコの仲間が、トラを筆頭に10種類も生息しています。

インドと軒を接する南部、国境を越えたマナス保全地域(TraMCA)には、このうちユキヒョウを除く9種類が確認されています。ただ、どんなところに何頭ぐらい分布しているのか、といった生息状況については、昨年、ようやくトラの全国調査のレポートがまとめられたところで、その他の仲間のことはわかっていません。



TraMCAランドスケープで撮影された、野生のネコたち。夜行性が強く、単独生活者の彼らを観察するには、カメラトラップが強い味方です。

TraMCAの森を歩くと、川沿いの湿った砂地や、塩舐め場と呼ばれるミネラル豊富な泥地に、大小さまざまな肉球マークがついていて、さすが亜熱帯の密林と感心させられます。トラのものは自分の手を広げたより大きくて、体重で泥に深く沈み込んでいる迫力を観ると、「近くにいないでしょうね」と思わず振り返り、冷や汗が噴き出るのも確かですが…。

ネコの楽園、TraMCAランドスケープを守っていくためには、まだまだやらなければならないことが残されています。南から国境を越えて侵入してくる、密猟者の取り締まりをインド政府と協力して行うなど、国際協力が重要なことは言うまでもありません。干支に個性があるのはインドも同じで、来年はなんと酉年の代わりに、”火の鳥“ガルーダ年。神さま年のご利益が大いにあるよう、初詣の際は、ブータンのためにもぜひお祈りください!



ブータンの仏教寺院でも、獅子やゾウとともに守護を司るガルーダ。