ゴリラとチンパンジー観察の奥の手⁉
国際保全事業部の岡安です。
カメルーン、ロベケ国立公園で手がけはじめた、ゴリラ・チンパンジー観察のための奥の手。それが、彼らの大好きなフルーツのなる木を”識別”することです。特に季節性の強い”旬の味”は、野生のグループをおびき寄せる、文字通り格好の餌。
地元の人もお弁当のおかずにする、ガンベーヤの実。うっそうとしたジャングルの大木に生ります。苦甘い粘々した果肉が特徴。
写真のガンベーヤは、日本の夏、カメルーンのこの地域では小乾季に当たる7~8月に、大量の実をつける大木です。特にゴリラは大好物のようで、この木の周りにベッドを作って何日も滞在するぐらい、やめられないお味のようです。
この実が生っている間は、木の周りで”張って”いれば、2日に1度ぐらいは野生のゴリラに出会えます。で、どの木が特に好みかを、木の側から追いかけようというのが作戦。
ゴリラの食卓
毎日ではなくても大丈夫ですが、個別のガンベーヤがいつ花をつけ、実をつけ、熟した実が落ち、ゴリラやチンパンジーがやってくるのはどのタイミングか、を地道に追いかけていきます。1年に何度も実をつけるわけではないので、数年がかりで進めなければならない気の長い調査ですが、この地図ができればこっちのもの!
現在、ロベケ国立公園の中で、特にゴリラの密度が高い場所を特定し、そこにあるゴリラやチンパンジーの食べそうな木をプロットするところまで、ほぼ終わりました。
プチサバンナ近くの、ゴリラスポットに分布するお好みの木々
これからもう一仕事、同じガンベーヤでも、どの木が特にゴリラに好まれるのか、あるいは実のなる時期が微妙にずれてくるのかといった、ゴリラたちの行動パターンと個々の木の関係を理解しなければなりません。
こちらもゴリラの好物
今のところの印象では、なぜかゴリラたちの好物のフルーツは、夏に一斉に実をつけるようで、7月~9月はチンパンジーも交えた大饗宴が観られる良い季節。
今年こそ、一番お気に入りの木というのを特定すべく、早くも夏の調査行の予定を立てはじめました!