ブータン・マナスの稀少種ゴールデンラングール

秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さまが訪問中のブータン。明日は、「花の博覧会」オープニングセレモニーに出席されるようですね。東ヒマラヤの国々ではモンスーンの季節がはじまり、豊かな雨にうるおされた自然の草木も花をつけ、急峻な山肌を彩っています。

長く鎖国状態を続けたブータンにとって、日本は数少ない長年の友好国。昨年は国交30周年を祝いました。日本モンキーセンターにも薄からぬご縁の、今西錦司博士をはじめとする「京都学派」の先人たちが、この流れを作ってきた歴史が思い出されます。

そのブータンでもっともユニークなサルが、TraMCAランドスケープに棲むゴールデンラングール。

4月下旬、ブータン南部、ロイヤル・マナス国立公園の道路わきで出会ったゴールデンラングール。体長の1.5倍ぐらいある、なが~い尾っぽが目立ちます。

ブータン南部とインド・アッサムにまたがるマナス川流域の、限られた場所にだけ暮らすラングールの仲間ですが、陽にあたると白銀に輝く体毛が本当にきれいです。この地域のアクセスの困難さもあって、1955年になってから新しく発見されたサルなのです。

この時は、川べりの急峻な崖に張り付いて、岩に生えたコケのような植物を食べていました。浸みだしたミネラルを豊富に取り込んだ、特別な食事なのかも知れません。

発見後も、アッサム州の政情不安などの要因も重なり、まだ正確な数や生息範囲、群れの構成など基本的な情報がよくわかっていません。2003年になってから、ブータンでも中北部に分布するグループは、亜種として分離されるなど、まだまだ調査が必要な希少種です。

初めての人間が、カメラを向けてもほとんど気にせず、こちらに視線を向けている写真が珍しいぐらい。むしろこういう崖の上では、空から狙う猛禽類を気にしていました。

ブータンでは幸い、仏教心の篤い人々のおかげで、道端で出会っても慌てる群れはいません。サルの方も、人間が生き物の一つであり、自分たちの敵ではなく「森の同居人」のような気分で接しているのがわかります。

この日は、生まれて間もない赤ちゃんを抱いた、Goldenというより淡いピンク色に輝く、お母さんラングールの姿もフレームに収めることができました。赤ちゃんの顔はまだ肌色で、あどけない表情が何とも平和です。

こちらの写真は、友の会サポーター専用ページの「今月の1枚 6月編」にご紹介しています。
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