皆さま、冒頭からお詫びです。ごめんなさい。連載3クール目にして原稿落ち。Fatima先生の共食編の更新が1週間ほど遅れたのは、ひとえに編集担当の岡安の不徳の致すところ、先生には何の咎もありません。
で、今回はお詫びついでに言い訳、といいますか、いきなり超ディープなアフリカのお話をしちゃいます。何を隠そう、「マ・ラ・リ・ア」に、15年ぶりに罹ってしまったのですね~~。ヘロヘロ。
9月6日から3日がかりで、えっちらおっちらコンゴ民主共和国からカメルーンに移動の直前、微熱が出はじめてグズグズと長引いていた風邪が悪化する兆し。まだ後半3週間、お勤めの最中に肺炎はたまらんと、早めに抗生物質を飲みはじめたところ...。
嵐の前の静けさ...9月7日、旅の途中のコンゴ河畔
無事にカメルーン到着後の9日の夜中になって、歯の根が合わない震えとともにさらに熱が上がりはじめ、真打登場と相成ってしまいました(今、考えれば)。
ところはカメルーンも最南東部の、深ーいジャングルの村。基本、自己責任で何とかしなきゃなりません。でも風邪もこじらせてるし、マラリア治療薬と抗生物質を併用したら、いかな体力女の私でも持たない。ほんとにマラリアなのか、できればまず確かめたい。
それに、頭も身体もあまのじゃくな私にしては、9日夜の熱の出方があまりにも教科書的で初心者じみて( ̄▽ ̄;)て、イマイチ腑に落ちない。「マラリアだとすると、かれこれ15年ぶりだから、(いまだかつてあったことがない)初心に戻ったんだろうか!?」などと、抗生物質と熱に浮かされた頭から、アホな回想がダダ漏れる…。
聞けば、20kmほど先のサラプンベ村のカソリックミッションの診療所で、血液検査をしてもらえるという。日曜日でも何とかしてもらえるだろう、というので、急きょ、WWFに車を出してもらって受診に向かう。
サラプンベ村は、周辺の村々より少し大きいけれど、滅多に車も通らない、ノンビリした牧歌的な田舎の風景である。その真ん中近い広々した敷地に、診療室、検査室、入院棟などが点在する診療所がある。首都との往復の際、何度も前を通ってきたけれど、こんなに早く、自分がお世話になる日が来るとは、正直、思ってなかった。
カメルーン人医師が、問診と触診、聴診器という、オーソドックスな診察で、「たぶん、マラリアじゃないでしょう。肺の音もきれいだし、のどと鼻の炎症ですね」という初診。
この段階では、私もまだ信じてない。検査技師が休みだ、というところを頼み込んで、血液検査もお願いする。
待つこと2時間。もっとも簡便だけれど、信頼性も高い「GTPess」という検査で、マラリアがネガティブ!? 結果を見てお医者さんは、「100%、マラリアじゃない、とは言い切れないけれど」なんて、突然、弱気なことを言い出して、なんじゃそりゃ、と思いつつ、これは信じてもいいだろう。発熱中に血液のプレパラートをつくり、光学顕微鏡で観察する。私も日本の病院で入院した時、顕微鏡をのぞかせてもらったが、慣れた人には見落としようがないぐらい、マラリア原虫は大きかった。
アフリカの田舎の技師は、とにかく来る日も来る日も、この「GTPess」に明け暮れている。経験数は半端なく、簡単な検査なだけに、地元技師の腕は信頼できる。これが、私が30年近く、アフリカ中部各国を巡ってきて得た経験則だ。
よし、飲むべき薬は決まった。まずは風邪の治療に専念。抗生物質にアレルギーのある私は、日本で処方された特定の抗生物質を持ち歩くのだが、今回はイマイチ効きが悪い。のどの炎症に特化した抗生物質を処方されたみたいだから、早く切り換えよう。
で、翌日、仕事で130kmほど先の町に出たときに、買って飲みはじめたら、運悪く結果は凶と出て、容体悪化の奈落の底!?へ...。同行の皆さまには、本当にご心配をおかけして申し訳なく、お世話になって心から感謝の一言です。(続く)
(岡安 直比)