アフリカ中部、マルミミゾウたちの受難

【10月25日】WWF中部アフリカ生物モニタリング報告・記者会見@ドゥアラ、カメルーン

先月下旬、カメルーン第一の港湾商業都市ドゥアラで開催された、第17回コンゴ盆地森林パートナーシップ締約国会議のあいだに、WWFアフリカの記者会見が行われました。3年に渡った中部アフリカ4カ国の、主要な森林ランドスケープにおける生物モニタリング調査結果がまとまり、「WWF中部アフリカ生物モニタリング報告書」として発表されたのです。
今回の報告は、WWFアフリカが中部支部で展開する、生物多様性モニタリングプロジェクトのうち、ゴリラ・チンパンジーの大型類人猿と、森林ゾウ(マルミミゾウ)の大型哺乳類に、対象を絞っています。しかしその結果は、残念ながら予想以上にショッキングなものでした。日本モンキーセンター国際保全事業部が支援する、カメルーン・ロベケ国立公園で行われた調査では、13年でマルミミゾウが半減という結果が出ていますが、より広範な今回の調査では、何と過去8年間で3分の1になってしまったというのです。

今まで、生物多様性の豊かな地域では、モニタリングの重要性が関係者から何度も指摘されてきました。しかし、国境を越えて森林生態系が連続するアフリカ中部のような地域では、各国政府の自然保護に対する温度差などもあって、なかなか実現できずにいたのです。今回、調査方法の統一が図られ、同一基準のもと、のべ2,875キロメートル、33,560人の地元住民、公園管理事務所の職員や専門家が加わった調査が実現したのは、世界第2の面積を誇るコンゴ盆地の、貴重な熱帯多雨林を守りたいという各国政府や関係者の熱意が、実を結んだ画期的な瞬間です。

この同じ情熱をもってすれば、調査の対象地域全体で、1万を切ったと推定されるマルミミゾウの個体数の回復も、不可能ではないはずです。困難な道のりには違いありませんが、日本モンキーセンター国際保全事業部でも、引き続き現場支援を続けていきます。
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