常設展のウラ話④ どこから来た?立派な体格のニホンザル
 オランウータンの頭骨、マンドリル、テングザルとご紹介してきたこのコラム。常設展をさらに奥に進んでみましょう。マンドリルと同じ展示ケースの一番奥、少し高いところに、ニホンザルの剥製があります。立派な体格のオスで、毛並みもきれいです。どっしりと四肢で立ち、まっすぐ前を見つめる姿は、とても存在感があります。

 さて、ウラ話①でお話ししたとおり、常設展に展示されている標本のほとんどは日本モンキーセンターで亡くなった飼育個体に由来するものです。しかし実はこのニホンザルも、ウラ話①でご紹介したオランウータンの頭骨と同じく、モンキーセンターの外から来た、数少ない標本のひとつなのです。剥製標本の番号はP-S-0227。これをもとに情報をたどってみましょう。

 剥製標本の“主”が死亡したのは1986年10月24日。場所は園内ではなく、犬山橋付近。つまり、犬山に出没した野生のニホンザルだったのです。戦後は犬山に野生のニホンザルの群れは生息していませんが、ハナレザルが来ることはしばしばありました。おそらく彼も、そのようなハナレザルの1頭だったのでしょう。では犬山橋でいったい彼に何が起こったのでしょうか。記録によると、高圧電線に触れて墜落し、死亡したとあります。体重は18kgもあったそうです。野生のニホンザルとしてはかなりの大きさです。想像するに、健康で体力もみなぎる立派なハナレザルだったのでしょう。

 実は今でも毎年のように、秋になると野生のニホンザルがモンキーバレイ付近に出没します。秋はニホンザルの恋の季節。群れの中にいるメスを求めて、モンキーバレイに来るのです。もちろん中に入ることはできませんが。ハナレザルは私たちスタッフにとって、秋の風物詩のようなもの。

 今年はめずらしく秋の風物詩を見かけませんが、間もなく冬の風物詩が始まります。モンキーバレイで毎年おこなわれている「たき火にあたるサル」で、12/22(土・冬至)から始まります。「たき火にあたるサル」を見たら、ぜひビジターセンターにも立ち寄って、立派なニホンザルの剥製標本もご覧になっていただければ幸いです。

(学術部 キュレーター 赤見理恵)

過去のシリーズはこちら。
常設展のウラ話① 何かが違う!?オランウータンの頭骨
常設展のウラ話② マンドリルのカサブブ
常設展のウラ話③ 大きな鼻のテングザル

2018年12月16日更新
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