常設展のウラ話⑥ 名前が変わったカンムリラングール
 「常設展のウラ話」シリーズ、前回ゲラダヒヒをご紹介してから1年ちょっと間が空いてしまいました。すみません!

今回は、ゲラダヒヒの向かいの展示ケースにいる「カンムリラングール」をご紹介します。

カンムリラングールはスラっと長い尾や銀色にも見える体毛がとても美しいサルで、インド南部とスリランカに生息しています。今でこそ種名ラベルに「カンムリラングール」と表記していますが、実は以前は「ハヌマンラングール(スリランカ)」と書かれていました。サルの名前が変わる!?そんなことってあるのでしょうか?


 名前(種名)が変わるのは、実は生物の世界ではよくある話。新しい知見により分類体系が組みなおされたり、いままで1種とされていたものが複数種に分けられることもしばしばです。カンムリラングールも、以前はハヌマンラングールの一部と考えられていました。

 ハヌマンラングールは、インドでは古くから「ハヌマーン」という神様の一族として人々に大切にされてきました。インドのハヌマンラングールに比べると、スリランカのカンムリラングールは一回りほど小ぶりです。それでも、精悍な顔つきや美しい銀色の毛は神々しさを感じさせるのに十分でしょう。常設展ではハヌマンラングールとカンムリラングールの両方の剥製をご覧いただけます。ぜひ比べてみてください。
(学術部 キュレーター 赤見理恵)

2020年2月29日更新
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