三魔女、テケ王国を行く。

Mbali Mbaba Manzai...
いうわけで、今回は最初にMbaliのおMbanzai模様をお届け!  
もちろん、素人の私の下手くそなビデオを加工くださったのは美穂さん <(_ _)>
 アフリカの田舎で「食材を手ずから用意する」ときは、こんなドタバタは日常茶飯事。というか自給自足生活では、タンパク源は「周りの自然から手に入れる」か「自分で育てる」の二者択一だから、“獲る”か“捕る”しかない。私たちMMM(バリ・ババ・ミサト)はというと、MMTファーム の料理人に頼んで、「こんなん、食べたいって言うてるで~」というコマンドを村内に飛ばし、「売ってもいい」という人を探してもらう。

 自給自足の文字通り、「自分用に育てた」ものを「他人用に売り買い」するのは、実はそうそう簡単じゃないのだ。どの家もたいてい「ニワトリ、アヒル 、ヤギ」あたりを放し飼いしてるけど、飼われている動物の側も自分の家を分かっているので、人様のタンパク源は一目瞭然。

 育て上手な家が分けたり現金のために売ったりと、細々とした取引はある。でも定期市が立つわけでなし、“大食い”の外国人にまとめて売ってやろうという奇特な人が現れるのを待つだけでは、喰いっぱぐれる可能性大なのだ。
そう、ここMbaliの地では、よそ者の「その日暮らし」は成り立たない。アフリカの田舎で“共食”を成り立たせるのは、けっこうハードルが高い!

 まず“自足する”ためのコミュニティのタンパク源の生産があり、土地のキャリング・キャパシティーと呼ばれる“豊かさ”をベースに成り立っている。そこに余剰があって初めて、赤の他人も養えるわけだが、長年、裏の森で“獲る”タンパク質に頼ってきた村だから、家畜の数はたかが知れている。

 そのせいもあってか、Mbaliの人々には、家畜を「高く買ってくれるなら売るでぇ」という商売っ気があまりない。DRCの常で吹っ掛けられても交渉しなくちゃ、と身構えてるこっちは拍子抜けすることもしばしば。
 それで思い出すのが、美穂さんの脳内BGMに出てきた“お金をちょうだい”。タイトルはまさにリンガラミュージックの真骨頂!でたぁって感じ。ただ美川憲一と違って、ここDRCでは「あなた行かないで、幸せだった日を捨ててしまうの? でもお金なきゃ暮らせないのよ、お金をちょうだい!」(結局そっちかい!)という押しの一手、しかも男性が女性に向けて歌っちゃったりするカルチャーショック…!?

 30年前、初めてキンシャサに足を踏み入れ、リンガラ語を覚えたての頃は流行歌の直情に笑ったものだが、それが妙に色っぽいのもDRCの毒。生活は決して楽でないからあっという間にギスギスしそうな場面でも、冗談とも本気ともつかぬ“口説き”文句で、売る側は1フランでも高く、買う側は1フランでも安くと駆け引きするのだ。すっかりそのゲーム感覚にはまった私は、隣国ブラザビルでヒンシュクを買った。

 この世界有数の大都市キンシャサの調子で、おおらかなMbaliの人たちの自家消費用のお\(^o^)/を横取りするわけには行かない。他に売ろうと思っていたニワトリを、1000フラン(約100円)上乗せしたら私たちに分けてくれる、なんて細かい交渉はよくあることだが、なんせいっぺんに5人も6人も滞在する調査チーム。村を走り回る味はいいけど小柄な地鶏1羽で、居並ぶ胃袋を満たすのは無理な相談である。だから、たまに手に入る冒頭のヤギなどは、もう垂涎物のおごっそうだ。

 それをいざ潰そうという刹那に逃がしてしまった失態!
さすがの私も「食べられなかったらどうしてくれよう…」というイヤシイ高笑いが抑えられなかったのですね…( ̄▽ ̄) 
MMMbanzaiならぬMbali Mbaba Manzaiの一幕。
岡安 直比
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2018年4月2日更新
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