皆さま、明けましておめでとうございます! 新しい年、バリ・ババ・ミサトも張り切ってまいりましょう。
今年もごひいきに!!
という心機一転のこの機会に、Mbaliっていうロケーションを改めて考えてみる。私には、毎年1回は顔を出す、すっかり行き慣れた場所になりつつあるが、キンシャサから近いだけあって、思いのほかアプローチの選択肢は広い(というか、近いのに案外遠いからとも言う…)。2013年の初めての訪問から、2017年夏の調査隊まで、都合6回のMbali行で、往復とも同じ経路で行き来できたためしがない!?
陸・空・海改め水を自在に動き回れればいいのだが、彼の地は名にし負うコンゴ河のほ・と・り。コンゴ盆地を右へ左へと蛇行し、流域面積世界第2位を誇ると言えば聞こえがいいが、要はあちこち水浸しってことである。道路も橋も渡し船も、“冬”(だけどsummer)の大雨季が巡ってくると、流されてなくなるのは年中行事。そんなところを移動しようというのだから、何をどうやってもお金か時間か、どっちかが掛かる。
西に前回のブラザビルの橋やビーチと呼ばれる渡し場、東にマルク港(NASAより)
見てください、この衛星写真。
両首都の北(東)側に広がる「マレボ(旧スタンレー)プール」。35キロ×23キロもあるこのプールというか中州というか、平らな砂地を広がれるだけ広がって、浅いくせにとうとうと流れるもんだから、橋を架けるのも遡るのも至難の業。アフリカ屈指の大都市キンシャサのすぐ脇で、典型的な熱帯ジャングルの湿地帯を形成している。
そしてこの流量が、西流してキュッとすぼまったガレ地に注ぎ、迫力のChute(滝)となって300キロ先の大西洋に向かう。この辺のコンゴ河は、熱帯ジャングルとは思えない風光明媚なところもあるが、いかんせん“道なき道”のアプローチで、文字通りの秘境がまだ眠っている。その先に残された狭いジャングルの中に、野生のチンパンジーが暮らしているそうで、一度は訪ねてみたいねと隊長と話している(オッと脱線)。
屋根はあるけど周りに比べてもずいぶん小ぶりな元祖
”おうち”など載りようがない元祖BONOBO号
さて、2013年の6月に初めてMbaliに向かった時は、ベルギーの院生たちがMMTから借りた、元祖BONOBO号に便乗した。WWFの同僚は、ボノボを観に行けと勧めるわりには「足がない」と困っていたが、このとき当てがわれた選択肢は「空・水」のみで、空はMbaliから300キロ近く東にあるNioki(ニオキ)に飛ぶ、片道$150、週2回の定期便利用だった。そのNiokiからMbaliに行くのも、タクシーどころかバイクもなかったから、WWFの車頼み。悪路の途中で壊れたりしたら、何日足止め喰らうかわからない賭けである。
それにしても、キンシャサから直線距離で250キロぐらいのMbaliに、いったん300キロ離れた空港まで飛んでから、車で向かわなきゃならない理不尽よ...ボノボの棲む森がはじまるコンゴ河とカサイ河の合流点というのは、マレボプールが10個ぐらい散らばったような、やっかいな一大湿地帯だ。
船で向かうにしても、行く手を阻むのはマレボプール。何で西側に立派な港があるのに、わざわざ(航空写真の北東端にある)マルク港まで車で行かなならんの?と思ったが、車なら2~3時間だけど、船だと丸1日かかるって寸法だ。とどのつまり、主なところは船やらヒコーキやら使うけど、その前後にまともな車がないと、身動き取れないところにエボボさまたちはお暮らしなのである。
人間の居場所づくり
この時は、若者4人に加えて現地のアシスタントくん、私、それにWWFのコンサルという大人数に加え、調査備品300キロを積んでいささか傾いでいるBONOBO号に乗船。美穂さんが丁寧に追ってくれた、バリ・ババ・ミサト御用達のBONOBO II号には及びもつかない、デッキチェアーを横並びできない窮屈さ。しかも重みで喫水が船べりから10センチぐらいしか残ってなくて、いったん椅子に座ったが最後、身動きせずにいないと、ちょっと傾いたところからダダ漏れに浸水していく。何とかならないものか?と思ったそのままに、さすがDRC、何かが起こってしまったのである...(続く)。
(岡安 直比)